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2012年3月14日(水)

主張

TPP事前協議

“御用聞き外交”は中止せよ

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 「国のかたち」を変えることになる環太平洋連携協定(TPP)交渉への正式参加をめざして、野田佳彦政権が交渉参加9カ国と事前協議を進めています。これまでに6カ国が日本の参加に賛同した一方、農業大国の米国、オーストラリア、ニュージーランドとの協議はこれからがヤマ場です。

 なかでも大きな比重を占めるのが、交渉を主導する米国との協議です。米国は、TPP参加にはやる野田政権の足元をみながら、徹底した市場開放を迫っています。

野田首相の「指導力」

 「日本がTPP交渉に参加したら、米国の農家や牧場主、メーカーやサービス事業者が実際に利益を得ることになるよう、米国の関心事に取り組むか?」。米上院財政委員会公聴会(7日)での議員質問に、カーク米通商代表部(USTR)代表は「もちろんだ」と即答し、「日本が市場を完全開放し義務を果たすよう、これからも圧力をかけ続ける」と述べました。

 同時に同代表は「野田首相の指導力に励まされる」とし、自動車、保険、農産物を挙げて「日本は米側関心事を十分承知している」と続けました。野田政権は交渉参加によって、自らすすんで市場開放すると確信しているのです。

 カーク代表が「日本は承知している」と指摘したのは、米政府が日本との協議に先だって募集、公表した業界団体などからの意見です。日本に対する市場開放の要求が並び、事前協議の段階から約束を迫るものもあります(意見の抜粋を本紙経済面で連載中)。

 対照的に、野田政権は国民にきわめてあいまいな説明しかしません。野田首相は事前協議入りの声明で、「美しい農村を守る」とみえを切ったものの、具体策はまったく示せないままです。

 野田政権は米国との事前協議の冒頭で、全品目を自由化交渉の「テーブルに乗せる」とあらためて約束しました。それにもかかわらず、米国にも他のTPP参加国との交渉で保護を求めている品目があるなどとして、自由化には交渉の余地があり、コメなどの重要品目を守れるかのように描いてきました。こうした姿勢は事前協議を含む交渉の実態を国民の目から覆い隠すものです。

 「21世紀型の野心的な通商協定」を旗印とするTPPは、“例外なき関税撤廃”とともに、投資や政府調達、競争政策など広範な分野をとりあげ、米国型の多国籍企業本位の経済を広げるものです。

 TPPは国民生活に大きな影響を与えます。日本農業は壊滅的打撃を受け、地域経済が掘り崩されます。食の安全と安心は損なわれ、環境破壊がすすみます。

 国民に実態を知らせないまま、交渉参加をめざして協議を急ぐ野田政権への批判が強まっています。名古屋で2月に開かれた地域シンポジウムでは、古川元久国家戦略担当相らの「アジア太平洋の成長力を取り込む」との説明に、出席者からTPPに入ったらどうなるかを「生活者の目線」で知らせるべきだとの批判が出ました。

交渉すべきでない

 日本共産党はTPP参加はもちろん、交渉入りにも反対してきました。事前協議は、米国の意を体した“御用聞き外交”にほかなりません。農業再建をはじめルールある経済づくりをするためにも、事前協議をやめるべきです。


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