2012年3月19日(月)
NHK日曜討論 井上参院幹事長の発言
日本共産党の井上哲士・参院幹事長が18日、NHK日曜討論で行った発言を紹介します。
冒頭、野田内閣が提出を狙う消費税増税法案について各党代表が発言しました。
消費税増税反対 国民の声広がる
井上 議論すればするほど、消費税増税反対の国民の声が広がっているのが実態で、これに耳を貸すことなく法案を(国会に)出すことはやってはならないことです。
この消費税増税は、無駄遣いを続けたままの増税、社会保障の切り下げと一体、さらには経済に大きな打撃を与えて財政をさらに悪化させる、こういう増税だと思うんですね。
私も中小企業団体などを回りました。そこでは、こういう時期に増税をやったら売り上げも減って大変になる、消費税はとても転嫁できないので身銭を切って納税しなければならないなどの悲鳴があがっています。
1997年に消費税率を上げたときにも、経済が落ち込んで、その結果、財政破綻がひどくなることが起きたわけですが、今回の負担増はそれ以上ですから、いっそう大きな打撃になります。やはり日本経済と財政を奈落の底に落とすようなやり方は絶対にやるべきでないということを申し上げたいと思います。
消費税増税について自民党の溝手顕正・参院幹事長は、「引き上げそのものには大きな抵抗がないのが事実」と発言。民主党の一川保夫・参院幹事長は、14日に始まった同法案をめぐる党内審査について「一定の方向が定まってはいない」と述べ、国民新党の亀井亜紀子・政調会長は、「(増税は)賛成できない」と明言しました。
社会保障と経済政策一体に
年金をはじめとした社会保障改革の全体像が示されていないとの主張で話題が社会保障に移りました。
井上 (社会保障と税の)「一体改革」といいますが、この4月から後期高齢者医療制度、介護保険のいずれも保険料が大幅値上げされ、年金支給でいうと過去最大の削減になります。また、子ども手当の廃止で手当は減る一方で、年少扶養控除の廃止によって住民税が増税になります。もう増税と社会保障の「一体改悪」だと、本当に国民の前に見えてきています。
私たちは、社会保障を段階的に充実することと、国民の懐をあたためる経済政策を一体にする方向で「提言」を出しています。それがやはり相乗効果を生むわけです。社会保障の拡充は国民の懐をあたため、内需主導の経済政策で財政も立て直して社会保障の財源もつくることができる。こういう方向をすすめることが必要です。
歳入・歳出構造変えるべきだ
来年度予算案に関連して、いまだ参院に送付されない赤字国債発行のための公債特例法案について議論し、各党は与党を批判。一川氏も「早く参院に送っていただきたい」と衆院側に要望しました。
井上 (本予算と同法案を)セットで送ってくればいいということではなく、莫大(ばくだい)な赤字国債を出さないと予算が編成できないほど税収が減ったのはなぜかというのが問題です。97年に消費税を増税してから、累計で84兆円、税収が減っています。大企業優遇の法人税税制をやる、所得税の最高税率を引き下げ、証券優遇税制などお金持ち優遇をやった。その結果こういうことになっているわけですね。
ですから、こういう歳入構造をそのまま受け継ぎ、(一方で)歳出でいうと、例えば八ツ場(やんば)ダムなどをやめるといって復活させる。こういうことをやったまま赤字国債に頼るのは間違いだと思います。
どの政権でもこれ(赤字国債)が必要だといわれるけど、(民主党は)それを変えるといったわけで、何のための政権交代だったのか問われます。
3党合意の押し付けやめよ
国会の衆参ねじれ状態や参院の役割について議論が移りました。
井上 ねじれ国会(が問題)といいますが、参議院の審議を妨げているのは、(民自公)3党で合意をしたものだけをスイスイやってしまうというやり方です。3党で密室協議をしてそれを国会に押し付け、ろくすっぽ審議せずに通すというやり方がこの間続けられてきました。国家公務員の給与削減、労働者派遣法の骨抜きがそうです。子ども手当の廃止も議論されました。本当に国民不在ですよ。参議院は追認機関ではないわけですから、3党合意の押し付けをやめ、徹底審議を参院でしていくことを強く求めたい。
困窮する被災者もっと支援を
最後に、これからの政治課題などについて各党代表が一言発言。
井上 (東日本大震災から)1年が過ぎて、被災者の暮らしの困難というのはますます増大しています。助かったみなさんが関連死で1300人も亡くなっています。こういうことは本当はあってはならない。
ところが、いま政府は被災者の医療や介護の減免措置、それから失業給付の延長を打ち切るというわけですから、追い打ちをかけるようなやり方になっています。困窮するみなさんへの特別な支援がもっと必要です。
上から選別するやり方では復興はできません。本当に被災者の暮らしと生業(なりわい)を再建する、地域全体を再建する方向で本腰をいれることが政治に求められています。