2012年3月19日(月)
防衛省→三菱電機144人天下り
水増し請求の背景に
兵器製造で癒着
中距離地対空誘導ミサイルや情報収集衛星(スパイ衛星)など、航空宇宙・防衛事業をめぐって防衛省などへの経費の水増し請求が問題になっている三菱電機への「天下り」が、防衛省からは「陸上幕僚長」はじめ144人にのぼることが明らかになりました。防衛省以外の国家公務員の天下りは3人。軍事産業2位の三菱電機と防衛省との特殊な関係が浮かび上がりました。
吉井衆院議員の追及で明らかに
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これは、日本共産党の吉井英勝衆院議員が2度にわたって提出した情報収集衛星の契約における三菱電機の過大請求をめぐる「質問主意書」に対する政府の答弁書で分かったもの。
2月1日提出の質問主意書に対する答弁書(2月10日閣議決定)で、政府は、内閣衛星情報センターが運用する情報収集衛星の導入決定をした1998年12月以降の防衛省職員の三菱電機への天下りについて144人と回答。吉井氏は、2月16日提出の質問主意書で、144人の氏名と防衛省退職時の官名と役職、三菱電機再就職時の役職名と職務内容とともに、防衛省以外の天下りについて、ただしました。
2月24日に閣議決定された答弁書によると、「陸上幕僚長」「航空集団司令官」「西部航空方面隊司令官」「呉地方総監」「第一師団長」などそうそうたる幹部が「顧問」として天下りしていることが分かりました。
「装備本部会計課会計管理官」が、「嘱託」として三菱電機に天下り、「官庁の契約制度に関する指導」にあたっていたという今回の過大請求につながるような例もあります。
一方、防衛省以外の天下りは、北海道公安調査局長、兵庫県警本部警務部参事官兼播磨方面本部長、福岡県博多警察署長の3人でした。
防衛省から天下りした人物は、三菱電機で今回、水増し請求が明らかになった「中距離地対空誘導弾」などの「整備、改善に関する指導・助言」にあたっていたのをはじめ、「誘導武器等の改善に関する指導・助言」「イージス戦闘システム等の改修に関する技術支援の事業化に対する指導・助言」などと、きわめて具体的な職務にあたっていました。
兵器製造という特殊分野での癒着の深刻さを示すものです。
2月24日、防衛省は三菱電機の子会社3社と関連会社1社も請求額の水増しを行っていたことを明らかにしました。