2012年3月23日(金)
TPP交渉 95%「関税即時撤廃」
他品目は7年以内 漁業補助金の禁止も
政府が参加を推進している環太平洋連携協定(TPP)で、資格や免許などの「相互承認」、漁業補助金「禁止」、英語による公共調達などが実際に交渉されていることが新たに判明しました。政府が22日の民主党経済連携プロジェクトチーム(PT)総会に提出した交渉参加9カ国による最新の分野別交渉状況によって明らかになったもので、雇用や漁業振興、東日本大震災の復旧・復興を妨げかねない内容です。
政府は昨年10月にも同PTに「TPP協定交渉の分野別状況」と題する資料を提出。今回、提出した資料では、複数の交渉参加国から個別に収集した最新情報を明らかにしています。
その資料と外務省、農林水産省などの説明によると、協定の中心である関税撤廃では、多数の国が協定発効時に90〜95%の品目の「即時関税撤廃」、その他も7年以内の撤廃を支持。医薬品など知的財産の「データ保護期間」も議論の対象となっています。
また、交渉参加国は免許や資格の「相互承認」を議論する「枠組み」づくりを検討中。資格などが相互承認されると、協定上「専門職」とみなされる労働者が他国から大量流入し、雇用状況がさらに悪化することも懸念されます。
米国は「過剰漁獲を招く」などとして漁業補助金の禁止を提案。各国間の対立で「合意に至っていない」ものの、合意されれば、大震災被災地の漁港復旧や漁業者への各種補助金も「禁止」の対象となるおそれがあります。
政府(公共)調達では、入札公告に英語を使用する「義務」が「課されるだろう」との情報を明記し、米国企業の参入に道を開こうとしています。さらに、米国の提案で「国有企業に特化した議論」が行われていると説明。「有利な待遇を与えられた国有企業」を標的としており、日本の郵政事業も対象となりかねません。