2012年3月28日(水)
「核物質使用最小化」を宣言
原発安全強化も 核安保サミット閉幕
53カ国の首脳級と4国際機関の代表が参加した韓国ソウルでの核安全保障サミットは最終日の27日、核分裂物質の使用最小化や原子力の安全性での各国の協力を盛り込んだ「ソウル宣言」を発表して閉幕しました。次回サミットは2014年にオランダで開催します。
宣言は、高濃縮ウランやプルトニウムなど核分裂物質を使用したテロを防止するため、各国の高濃縮ウランなどの使用最小化を奨励。また、核物質の出所を特定する「核鑑識」を強化することとしました。宣言ではさらに、昨年の福島第1原発事故を契機とした、原発の安全とテロへの備えについて「持続的な努力が必要」と表明しました。
同日午前中の協議では、議長を務める韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が、「世界には、高濃縮ウラン1600トンとプルトニウム500トンがあり、これは核兵器10万発以上製造可能な量だ」と指摘。「すべての核物質を最小化し、究極的には全廃することが核テロを防ぐ根本的な解決だ」と述べていました。
中国の胡錦濤国家主席は、「中国は、さらなる核の安全施策を取り、核と設備の安全を確保し、関連する国際協力に加わる」と、安全水準の向上や国際交流を深める意向を示しました。
米国のオバマ大統領は、「(核テロ対策は)一国だけで可能となるものではなく、国際社会が一体となって実行可能となる」と述べ、各国に対して「言葉だけではなく行動を」と呼び掛けました。
核安全保障サミットは、2009年に「核なき世界の実現」を呼びかけたオバマ大統領の提唱で10年4月にワシントンで初開催され、今回が2度目。