2012年4月2日(月)
原発マネー1674万円
大飯耐性試験審査 4委員に
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)のストレステスト(耐性試験)1次評価を審査した経済産業省原子力安全・保安院の「意見聴取会」。その委員を務める大学教授4人が原子炉メーカーの三菱重工や原発利益共同体の中核、日本原子力産業協会(原産)などから5年間で判明分だけでも1674万円の寄付を受けていたことが1日、本紙が入手した資料などで明らかになりました。安全性に関わる問題での性急な審査にたいし、“再稼働先にありき”と批判があがる中、委員の中立性が問われます。
三菱重工や原産協会から
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意見聴取会は保安院が審査にあたって専門家の意見を聞くために設置したもの。原子力や津波などの専門家11人で構成され、電力各社が提出したストレステストの1次評価書を審査しています。
ここでの審査結果をもとに保安院は2月13日に関西電力の大飯原発3、4号機について、3月26日には四国電力の伊方原発3号機について「妥当」とする審査書を内閣府の原子力安全委員会に提出しました。
本紙が情報公開で入手した企業などの寄付金の実績(2006〜10年度)によると、聴取会の委員に名を連ねる奈良林直氏(北海道大学大学院教授)には、原子燃料工業と日本原子力発電の2社から計150万円の寄付がありました。
奈良林氏は3月29日の意見聴取会で、「ニューヨークで広域の大停電があった。わが国でも起きると、地震・津波・原発事故、そして第4の災害になりかねない」と発言。その上で、ストレステストの審査や発電所の対策などを「どんどん速やかにやってもらいたい」と主張していました。
阿部豊氏(筑波大学大学院教授)は、大飯原発3、4号機の原子力プラントを製造している三菱重工から計500万円の寄付を受けていました。
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山口彰氏(大阪大学大学院教授)には、三菱重工や原子力エンジニアリング、日本原子力発電、原産が計824万円を寄付しています。原産は福島第1原発事故後の昨年3月31日に14万円を寄付していました。
意見聴取会の進行役となっている岡本孝司氏(東京大学大学院教授)も三菱重工から200万円の寄付があったことが明らかになっています。
今回、本紙が調査した「奨学寄付」は、企業や団体が「研究助成のため」などとして、寄付先の教授を指定して大学経由で行っているもの。使途についての報告義務はありません。
こうした業界からの寄付は聴取会の席上でも問題となり、岡本氏が「三菱重工以外の企業からも寄付を受けている。大学のルールに基づいて適正に行っており、個人の利益のために使用していない」と釈明する場面もありました。