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2012年4月6日(金)

緊縮財政下 自殺が増

ギリシャ、政治問題化

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 【ロンドン=小玉純一】財政危機を理由に緊縮政策を進めているギリシャで、生活苦を理由にした自殺者が増加しています。5月にも実施予定の総選挙を前に、政治家の対応を問う声が上がっています。

 アテネからの報道によると、4日朝には元薬剤師のギリシャ人男性(77)が、通勤ラッシュの時間に国会議事堂前で、銃で頭を撃って自殺しました。

 地元メディアによると、男性は遺書を残し、「年金保険料を35年間払ったにもかかわらず、政府のせいで生きていけなくなった」「ごみ箱から食べ物をあさる前に、死ぬ以外にまともな方法を見付けられなかった」と記していました。目撃者によると、男性は自殺直前に「子どもに負債を残したくない」と叫んだといいます。

 事件後、現場には約1千人が集まり、ろうそくと花を供え、追悼のノートを置きました。夕刻には数百人がデモ行進し、「これは自殺ではない。国家による殺人だ」と声を上げました。北部テッサロニキでも同様の集会が開かれました。

 パパデモス首相は声明を発表し、「悲劇だ」「困難な時であり、政府も市民も絶望した人を支援しなくてはならない」と述べました。保守・新民主主義党のサマラス党首は、「これが最初(の自殺)ではない。記録的な水準だ」「政治家は、国民が絶望から抜け出すのを手伝わなければならない」と語りました。

 国家財政が破綻したギリシャは、年金や福祉手当の削減、増税、リストラや賃下げなどの緊縮策実施と引き換えに、2010年5月から欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)の融資を受けています。

 最新のデータによると、失業率の上昇、増税、賃下げに伴って、10年の自殺者数は前年比で18%増えました。自殺防止の活動に取り組む慈善団体によると、この1年で相談電話の数が倍加。多くは生活苦からくる相談です。

 薬剤師の労働組合幹部は4日、ロイター通信に対し、男性の自殺について発言。「人々をこのような絶望に追い込んだのは政府だ」と批判し、責任を問いました。


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