2012年4月8日(日)
有明漁師「待てぬ」
開門期日 農水相言わず
判決後初の面談
国営諫早湾干拓事業で閉め切られた潮受け堤防排水門の全開門を求めている「よみがえれ!有明海」訴訟の原告・弁護団は7日、佐賀市内で常時開門を命じた福岡高裁判決(2010年12月)後、初めて鹿野道彦農水相と意見交換しました。原告らは漁業被害での窮状を訴え、早期開門を求めましたが、開門期日や方法について明確になりませんでした。
鹿野農水相は、開門反対の長崎県側にはこれまで3回訪ねており、今回、同訴訟団や佐賀県が再三にわたった要請に応じたもの。
意見交換には漁民や馬奈木昭雄弁護団長ら約60人が出席。判決の開門期限が来年12月までであることに馬奈木弁護団長は「宝の海有明海を取り戻したい。来年5月か6月までの開門を」と要請しました。
深刻な漁業被害の影響について長崎、熊本、福岡、佐賀の漁民原告10人が発言し、例年の半分の水揚げとなる養殖ノリ漁の不作やタイラギ漁やイイダコ、カニ、エビの漁業の状況を告発。「有明海から漁民がいなくなる」「有明海が悪くなる。一日も早く開門を」と訴えました。
開門判決から1年4カ月間も国が開門しないでサボタージュする違憲状態について、佐賀県大浦の若いノリ漁師大鋸武浩さんは、「私たちはいつまで待てばいいのか。農水省は大型公共事業で有明海の漁師を犠牲にしている」と、農水相の謝罪を求めるきびしい声が出されました。
鹿野農水相は「原点は有明海の再生への開門と受けとめました。来年12月までの開門義務を負っている」としながらも開門期日は明言しませんでした。