2012年4月15日(日)
独の温室ガス 2.1%減
原発停止でも排出抑制可能
自然エネ利用 経済も成長
2022年までの原発全廃を決めたドイツで、風力や太陽光など自然エネルギーを利用した発電が進み、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量が順調に減っていることが明らかになりました。 (片岡正明)
ドイツ連邦環境庁は12日、11年の温室効果ガスの排出量は、前年比で2・1%減り、9億1670万トンになったと発表しました。これによって、京都議定書が基準とする1990年の排出量からの削減目標21%を大きく上回る26・5%削減となります。ロイター通信が報じました。
ドイツのメルケル政権は昨年3月、福島第1原発の事故が起きた直後に、2022年までに全国に17基ある原発を段階的に閉鎖することを決定。11年には8基の原発を停止しました。
今回発表されたデータは、温室効果ガス削減には原発が必要というフランスなどの主張を覆すものです。日米の経済界などは、経済成長するためには温室効果ガス削減は難しいと主張していますが、ドイツは10年に3・6%、11年に3%と安定的に経済成長しており、こうした温暖化対策への消極論の誤りを事実で示すものとなっています。
同庁のフラスバルト長官は「(温室効果ガスの)排出量削減が比較的温暖だった天候によって助けられた」面はあるが、風力や太陽光など再生可能エネルギーの利用比率が高まったことが「排出量削減につながった」と分析しています。
温室効果ガスの中で最大部分を占めるCO2の排出量は、2・4%減り、7億9970万トンになりました。
同庁などを管轄するレトゲン環境相は11日、今年3月までの3カ月間の再生可能エネルギーの発電量が昨年同時期の発電量に比べ、約40%増加したと発表しました。同相は、20年までに総エネルギーの35%を再生可能エネルギーで賄うとするドイツの目標達成に大きく近づくものだと強調しました。