2012年4月21日(土)
米・加訪問のTPP調査報告
民主党内でもかん口令
相手国の要請うけ公表せず
野田佳彦首相の訪米を控えて環太平洋連携協定(TPP)の調査のため9日から14日まで米・カナダ両国を訪問した民主党の議員調査団(団長=桜井充座長代理)が、相手国の「政府関係者」から「外交上差しさわりがある」ことを理由に聴取内容の「公表を避けてほしい」との要請を受け、相手側が「本音で全部話す」ことと引き換えに秘匿要請を受け入れていたことが明らかになりました。
20日に開かれた、TPP交渉参加問題について議論している民主党の経済連携プロジェクトチーム(PT=鉢呂吉雄座長)の総会後、同PTの事務局が報道陣に語りました。
総会では同党議員に数枚の報告資料が配布され、調査団による説明も行われたものの、総会直後の吉良州司事務局長らによるブリーフィングでは資料は一切配布されず、現地での具体的な聞き取りの内容などについてはほとんど明らかにされませんでした。同PTの事務局は「相手国に対して一定の配慮が必要だ」と説明。公表可能な内容をまとめた資料の作成や配布はあらためて同PT役員会で検討するとしています。
今回の調査団は、貿易の「ルールづくり」への日本参画の余地のほか、センシティブ(重要)品目の貿易自由化の扱い、TPP交渉そのものの進捗(しんちょく)状況などを対象に現地調査を行いました。
これまで、野田首相はTPP交渉について「説明責任を果たす」などと繰り返してきました。しかし、TPP交渉では、協定発効後4年間は交渉内容の秘匿が義務づけられていることが明らかになっています。今回の同PT側の説明によって、他国からの要請次第では、政府だけでなく民主党側も情報を国民に隠さざるを得ない実態があらわになりました。
また吉良氏は、野田首相が訪米時にTPP交渉参加について表明するかどうかはもともと「白紙だったのではないか」と説明。日本の交渉参加のための対米事前協議も行き詰まっている実情が明らかになりました。