「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年4月26日(木)

主張

曲がり角の欧州

国民に拒否される緊縮路線

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 フランスやオランダなど欧州各国で、経済・財政危機への処方箋とされる緊縮政策の矛盾が噴き出しています。庶民増税などの緊縮政策で国民生活が破壊されるなか、緊縮を押し付ける政権が批判を浴び、政治転換が不可避になっています。緊縮路線に代わるべき政策への関心も高まっています。

 この流れは、欧州統合のあり方にも影響せざるをえません。「財政均衡」を旗印にして責任を国民に押し付ける路線は、弱肉強食の新自由主義の立場に立つものであり、福祉国家という欧州社会モデルの基盤を掘り崩すものです。

フランスの選択は

 仏大統領選は、22日の第1回投票でサルコジ候補が再選をめざす現職の候補者としては初めて、挑戦者オランド候補の後塵(こうじん)を拝しました。現職の苦戦は、国民がサルコジ政権に「ノン」を突きつけたものとみなされています。5月6日に行われる決選投票の行方は、欧州はもとより世界的に注目されています。

 最大の争点は緊縮か成長か、です。サルコジ候補が付加価値税の税率引き上げなど国民負担増を進めているのに対し、オランド候補は緊縮政策に反対し、経済成長の必要を主張しています。サルコジ大統領がドイツのメルケル首相とともに推進してきた、欧州連合(EU)加盟各国に厳しい財政規律を課す新条約についても、オランド候補は見直しを求めています。

 サルコジ政権は発足以来、生産性を向上させるとして、週35時間労働制など労働分野で確立された規制を大幅に緩和する新自由主義的な政策をとってきました。そのもとで貧富の格差が拡大していることも争点です。この立場は緊縮路線の背骨にもなっています。

 オランダでは、財政赤字削減策をめぐって連立政権を構成する各党の立場の違いが表面化したことから政権が崩壊し、総選挙に突入する事態となっており、緊縮路線に国民の批判が強いことを示しています。ドイツと並んで国債格付けが最上級のオランダでさえ、財政政策をめぐる対立が浮き彫りになったことは、緊縮路線が不安定要因として欧州全域に波及しかねないことを示しています。

 2年余におよぶユーロ危機のもとで、欧州では「財政均衡」が強調され、庶民増税の一方で年金や賃金が抑えられ、教育や医療も引き下げ圧力にさらされています。それは、各国民にとっての欧州統合の意義自体が危うくなっていることを意味しています。

 欧州各国がこの危機をどう克服するのか、答えは労働運動を中心とする国民の民主的たたかいにかかっています。主要労組は、EU関連条約を見直して、危機対策に団体交渉の権利を組み込むよう求めています。欧州統合も社会的連帯を強めてこそ前進するのです。

求められる代案

 民主党政権が国民負担増と社会保障切り捨てを強行しようとしている日本にとっても、緊縮路線に代わる政策と、そのための社会モデルのあり方を求める欧州の試みは人ごとではありません。

 日本共産党は消費税に頼らない改革の提言で、「能力に応じた負担」の必要を主張しています。仏大統領選でオランド候補が付加価値税増税に代わるものとして、富裕層への増税を主張して支持を広げていることは刺激的です。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって