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2012年4月30日(月)

米の4頭目BSE牛 輸入緩和迫るTPP

消費者の不安 解決されず
科学的審議 時間をかけて

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 アメリカで、BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)に感染した牛が確認されました(24日)。同国ではこれで4頭目。アメリカ政府が野田内閣に対して、“環太平洋連携協定(TPP)に参加したいのなら、牛肉輸入条件の緩和・撤廃が前提だ”と迫っているなかでの事態です。「TPPから日本の食と暮らし・いのちを守るネットワーク」が開いたシンポジウム「BSE対策の見直しを考える」(24日)の議論を紹介しながら、輸入条件の緩和の問題点を考えてみました。


シンポ議論から考える

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(写真)「消費者が納得するBSE対策を」と話し合ったシンポジウム=24日、東京

 米農務省の発表によると、BSEに感染した牛は、カリフォルニア州で飼育された乳牛です。この牛が市場に流通した事実はないとされていますが、感染経路などは不明です。

 現在、アメリカ産牛肉の輸入条件は、BSEの発症がないとされる「20カ月齢」以下の若い牛と、感染源となる異常プリオンがたまりやすい脳やせき柱などの危険部位は、すべてとり除いた牛肉です。

政府が再評価諮問

 アメリカの「緩和・撤廃要求」に事実上呼応して、政府は昨年12月、食品安全委員会にBSE対策全般の再評価の諮問をしました。国内対策の見直しとともにアメリカ・カナダなどの“輸入緩和のリスク(危険度)”の評価を求めました。

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(写真)日本のBSE対策は耳標の数字で牛の生産・流通がわかる「トレーサビリティー」制度もあります

 「20カ月齢以下」を「30カ月齢以下」とした場合、月齢制限を撤廃した場合の二つで、リスク評価を審議中です。

 食品安全委員会のプリオン専門調査会は、1月から「調査審議」を開始し、4回開催。「米国のBSE牛確認についても情報を収集して、審議することになる」(同委員会事務局)といいます。

不十分な対策指摘

 シンポでは、パルシステム生協連合会の原英二さんは、アメリカでは若い牛の出荷が多く、「30カ月齢」への緩和は、事実上の全面解禁だと力説しました。アメリカのBSE対策が不十分だとして、(1)30カ月以上の牛にBSE検査を限っている(2)BSEの危険部位の除去も一部(3)感染源とされる牛の肉骨粉については、鶏や豚の飼料として流通し牛のエサにまざる可能性がある、と指摘しました。

 また、BSEも複数の種類の発見もあることを紹介しながら「わからないことが多く、不安が解決されない状態で輸入解禁に『はいそうですか』といえない」と力を込めました。

 政府の輸入規制緩和諮問について、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会の植田泉さんは、「野田首相がアメリカに行ったときの『手土産に』という思いがぬぐえない」と発言。BSEの人間への感染は不治の病となることであり、「時間をかけて科学的に審議するのが当然であり、政治的圧力の中で諮問をしたことには憤りと違和感がある」とのべました。

 畜産事情にくわしい全国農業協同組合連合会の谷清司さんは、日本国内では、牛の肉骨粉を焼却した2003年以降に生まれた牛にはBSE感染牛は確認されておらず、「この状態をどう維持するかが課題だ」と訴えました。


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