2012年5月2日(水)
日米首脳会談 “動的防衛協力”で同盟強化
米大統領 TPPへ牛肉など緩和迫る
【ワシントン=小林俊哉】民主党政権下で初の米国公式訪問中の野田佳彦首相は4月30日(日本時間1日)、ホワイトハウスでオバマ大統領と約1時間会談しました。両首脳は6年ぶりとなる日米共同声明を発表し、地域と世界の平和と繁栄のため「あらゆる能力を駆使し、われわれの役割と責任を果たす」と、地球規模での日米同盟強化を宣言。首相は会談後の共同記者会見で「日米同盟は新たな高みに達した」と語りました。
会談では、焦点となっている沖縄の米軍普天間基地問題は議題に上りませんでした。共同会見でも首相は「これまでの経緯を踏まえ、早期解決に取り組んでいく」と述べるにとどまりました。
一方、共同声明は「両国の安全保障・防衛協力のさらなる強化を目指す」と表明。先月末、見直しを発表した在日米軍再編計画は「地域の多様な緊急事態に日米同盟が対応する能力をさらに高める」と強調しました。
さらに共同声明と同時に発表した関連文書で、同計画について、海外での日米共同の軍事活動につながる「動的防衛協力」など「2国間の運用面での協力を強化する同盟の新たなイニシアティブへの道を開く」と評価しました。
環太平洋連携協定(TPP)の問題で、首相は参加表明を見送りました。一方で共同声明では「2国間協議を引き続き前進させる」と強調しました。大統領は会談で自動車、保険、牛肉の3分野への「関心」を表明し、日本の輸入規制の緩和を迫ったとみられています。
対中関係について、会談で両首脳は、中国が国際社会で積極的な役割を果たすことへの期待を表明しました。会見で大統領は「中国を封じ込めようとしているわけではない」「平和的に台頭する中国を歓迎する」と述べる一方、「中国が国際ルールや規範」を順守する必要を強調しました。
志位委員長が談話
日本共産党の志位和夫委員長は1日、日米首脳会談について談話を発表 (全文)。米軍と自衛隊の「動的防衛協力」に踏み出すなど日米軍事同盟の侵略的変質、日本の経済主権を投げ捨てる環太平洋連携協定(TPP)の推進、国民の生命と安全を脅かす原発推進への日米協力の打ち出しなど、「異常な対米追随ぶりを際立たせるものとなった」と批判しました。
日本共産党は、こうした異常な「アメリカいいなり政治」を根本からただすため奮闘する決意を表明しています。