2012年5月2日(水)
核廃絶 約束果たせ
NPT準備委始まる
2015年に開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議の第1回準備委員会が4月30日、ウィーンで始まり、初日から核廃絶に向けた真剣な努力を求める発言が続きました。会期は11日までで、核軍縮、不拡散、原子力の平和利用の3分野で15年に向けた具体化がどこまで進むのかが焦点となります。(西村央)
開会演説でアンジェラ・ケーン国連上級代表(軍縮担当)は、前回の会議で確認された64項目の行動計画にふれながら、核軍縮、不拡散、原子力の平和利用の3課題は道半ばであり、「10年の再検討会議の合意に沿った行動が求められている」と強調しました。
64項目の第1項目は「核兵器のない世界を達成するとの目標に完全に合致する政策をとる」と明示しています。
非同盟諸国会議を代表して演説したエジプトのアハメド・ファターラ外務次官(軍縮大使)は、「核兵器の完全廃絶という目標は世界中の人々の強い決意が込められたもの」と指摘。核兵器保有国による廃絶への「明確な約束」を含む、すべての核軍縮の約束を完全に果たすよう主張しました。
マレーシアのムハンマド・シャハルル・イクラム・ヤコブ軍縮大使は「マレーシアは、核兵器の完全廃絶が国際課題での最優先事項と確信している」と強調。前回会議で実現のための関係国会議の12年開催が確認された中東非核地帯創設についても支持することを表明しました。
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)によると、世界各国の4分の3に相当する146カ国が核兵器廃絶のための国際交渉の開始に賛同しています。これに反対は26カ国にとどまっています。
今回の準備委員会では、核兵器の廃絶を願う国際的な潮流をどう受け止めていくかが問われます。とりわけ核保有国は、核軍縮の進捗(しんちょく)状況を14年に開く準備委員会に報告するよう前回の合意でも求められており、真剣な努力が必要となっています。