2012年5月24日(木)
大阪市 職員政治活動に刑罰
条例案検討 思想・信条の自由侵す
7月議会提出も
大阪市が市職員の政治活動を国家公務員並みに厳しく規制し、2年以下の懲役などの刑罰を盛り込んだ全国に例のない条例案を検討していることが分かりました。同市は7月議会提出を目標に検察当局や総務省と協議を進めるとしています。
橋下徹市長は23日、市役所内で記者団に「国家公務員と地方公務員を区別する必要はない」と条例制定を目指す意向を示しました。しかし、国家公務員法の刑罰規定そのものが憲法違反だとして裁判で争われてきた問題です。
地方公務員の政治活動については、地方公務員法が一定の制限を設けていますが、刑事罰はありません。法律に処罰規定がないものを条例であえて処罰規定を設けること自体、違法とされています。また、罰則付きで表現の自由や思想・信条の自由を侵す条例を設けることは、違憲の疑いが強いものです。
国家公務員については、国家公務員法や人事院規則で地方公務員より幅広い内容の政治活動が禁止されており、違反すれば3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。国公法をめぐっては、休日に職務と無関係におこなわれた政治活動をめぐり二つの事件が最高裁で争われています。