2012年6月15日(金)
ギリシャ再選挙
ユーロ圏残留 富裕層に増税
注目集める急進左翼
17日に迫ったギリシャ議会の再選挙で、5月の総選挙で議席第2党に大躍進した急進左翼連合の伸張が世界の関心を集めています。同党は、融資と緊縮に関するギリシャと欧州連合(EU)との合意の廃棄と同時に、ユーロ圏残留を主張。しかし「急進左翼が政権をとれば国が破産しユーロ離脱となる」と批判を受けています。同党はこれを「脅し」ととらえ、「希望」を対置してたたかっています。 (アテネ=小玉純一 写真も)
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小学校の授業。教師がユーロ圏の国名を次々読み上げると、児童が質問します。「ギリシャは?」。沈黙する教師―。
これは選挙に向けた新民主主義党のテレビスポット。世論調査では国民の8割がユーロ圏残留支持です。
「ギリシャが救済計画(EU合意)をキャンセルすれば欧州の厄介者だ」「これはユーロ離脱となる」―新民主主義党のサマラス党首は13日、会見でこう述べました。
同党は今年2月、ギリシャに一層の緊縮を押し付けるEU合意を容認。5月の選挙で議席は第1党となったものの、得票を大幅に減らしました。その後の世論調査でしばしば急進左翼に支持率トップを奪われています。
サマラス党首の発言に対し急進左翼は13日、「貸し手による脅しの繰り返しだ」と批判する声明を発表しました。
“貸し手”であるEUと国際通貨基金(IMF)はギリシャに対し、合意を堅持してユーロ圏に残留するよう繰り返し要求。オランド仏大統領も13日、ギリシャのユーロ圏残留には「信頼関係が必要だ」と述べ、合意の堅持を求めました。
急進左翼の候補者の一人、イリオプラス氏(30)は、こう語ります。「EU合意で賃下げ、公務員削減などを決めた。100万人以上が失業、若者の半分が失業している。EU合意を廃棄すれば破産するというが、人々はすでに破産している」
急進左翼は、ギリシャ経済を悪化させるEU合意を廃棄し、債務返済に関しEUと交渉する方針。「貸し手にけんかを売るのではない。説得するのだ」―ツィプラス党首は12日、会見でこう強調して、「急進左翼が勝利すれば新しい政治の時代が到来する」と語りました。
同氏は各地の演説で、「最低賃金、失業手当、年金を元の水準に戻し、富裕層に課税し、汚職をなくす」と述べ、こう語っています。「他党は恐怖の言葉を語っている」「われわれは希望の言葉を話す」