2012年6月23日(土)
表現の自由守った
「慰安婦」写真展会場使用
ニコンに仮処分命令
戦後、旧日本軍によって中国に置き去りにされた朝鮮人「慰安婦」の写真展が会場を運営するニコンの決定で中止となった問題で東京地裁は22日、会場使用を命じる仮処分命令を出しました。
申し立てていたのは韓国人写真家の安世鴻(アン・セホン)さん(41)。安さんと李春熙(リ・チュニ)弁護士は同日、東京都内で記者会見。安さんは決定について「表現の自由を理由とした妥当なものだ」と評価。李弁護士は、決定に沿い、ニコンに会場の使用を認めるよう求めました。
ニコンは仮処分申し立てを受けて、同写真展が政治活動の一環だと判明したため中止通告したと主張。
東京地裁は、写真展が政治性を有したとしても、写真文化の向上という目的と併存し得るものだと判断し、6月25日から7月9日まで施設の使用を命じました。
同写真展開催の記事が新聞に掲載されると、インターネット上で開催に抗議する書き込みが急増。ニコンにも多数の抗議電話が寄せられたといいます。5月22日、ニコン担当者から安さんに諸般の理由で開催中止を決定した連絡が入りました。
写真展は、安さんを代表とし、友人らが加わる「重重〜安世鴻日本軍『慰安婦』写真展実行委員会」(通称・重重プロジェクト)が主催。実行委員会は、元「慰安婦」被害者の生涯を記録し、その人権回復と「慰安婦」問題早期解決のために世界各地で写真と講演の会を開いてきました。
安さんは昨年12月、ニコンに出展予定の写真40枚を提出して申し込み、写真家らで構成する選考委員会の選考を通り、今年6月26日から7月9日、東京・新宿ニコンサロンでの開催が決定していました。