「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年7月11日(水)

主張

TPP

経済ゆがめる参加を許さない

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 野田佳彦政権が、環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加するため、米国との事前協議に本腰を入れようとしています。玄葉光一郎外相は8日、クリントン米国務長官との会談で「日米間の協議を前進させるよう互いに努力したい」と踏み込んだ発言をしました。

 財界と米国の圧力の下で進められるTPPは、日本農業に壊滅的打撃を与え地域経済を破壊するとともに、国民の健康と安全を掘り崩すなど、多国籍企業の利益に沿って経済をゆがめるものです。参加すべきではありません。

暴走抑えた国民の批判

 TPP参加に前のめりの野田政権の暴走に「待った」をかけてきたのが、農業者や消費者、労働者、市民など広範な国民の強い批判です。野田首相はこの間、TPP参加問題で目立った動きをみせませんでした。参加強行で消費税大増税が進まなくなることを懸念したとの見方がもっぱらです。

 しかし、玄葉氏はじれる財界に「TPPなどの経済連携の強化を進める」(6月の経団連総会で)と約束しました。経団連はその直後、「一刻も早い交渉参加の英断を求める」との提言を発表しました。日本のあとに参加表明したメキシコとカナダが米国の承認を受ける見通しになったことも、財界を焦らせ、野田政権への圧力を強めさせています。

 日本がTPP交渉に参加するには、米国の承認が必要です。米国はその前提として自動車、牛肉、保険の各分野で日本側に理不尽な譲歩を迫り、野田政権はそれを受け入れようとしています。BSE(牛海綿状脳症)対策である牛肉の輸入条件の緩和は、消費者の安全という譲ることのできない問題で米国の主張をうのみすることであり、許されません。

 TPPは経済のあり方を多国籍企業の意のままに変えることが、ますます明らかになっています。外国企業が進出先の政府を国際調停機関に訴え、天井知らずの賠償を請求できる「投資家対国家の紛争解決(ISDS)」条項はその典型です。日本に進出する外国企業に、日本の法律による規制を回避する抜け道をつくるものです。

 オーストラリア政府はこの条項を、外国企業に国内企業よりも大きな権利を与えるものとして拒否しています。しかし、多数の米企業が、オーストラリアの主張を認めないようオバマ米政権を突き上げており、予断を許しません。

 重大なのは、TPPの本質にかかわる議論がまったく秘密にされていることです。TPP交渉では枠組みが固まりつつあり、日本が参加すればそれを受け入れることになります。しかも交渉の経緯は、締結後4年間は秘匿されることになっています。国民の監視を回避した非民主的なやり方で交渉が行われていることこそ、TPP参加が国民に不都合なものであることを裏書きしています。

阻止が経済再建の条件

 TPP参加は野田政権の「成長戦略」の柱であり、消費税大増税の実施に向けた“露払い”にするねらいもあります。大企業の輸出競争力を最優先にした経済運営こそ、非正規労働を広げ、経済をゆがめた張本人です。TPPはそれを増幅し、国民生活を犠牲にするものです。TPP参加を阻止することは、内需主導の経済再建にとっても不可欠の条件です。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって