2012年7月12日(木)
橋下氏が野田首相絶賛
改憲・TPP…方向同じ
「僕は民主党の支持率は急回復すると思う。やっぱり野田首相はすごい」(10日)。橋下徹大阪市長(「大阪維新の会」代表)が突如、野田佳彦首相を絶賛し始めています。一時は「倒閣」まで叫んでいた橋下氏ですが、底が割れたかといわざるをえません。
国民の懸念や反対押し切り
橋下氏は10日の市役所での囲み取材で、野田首相が「確実に『決める政治』をされている」と評価。「集団的自衛権(の憲法解釈見直し)を議論されるといい、TPP(環太平洋連携協定)にも参加表明するとか、当初言っていたことを着実に進めている」と絶賛しました。
なんのことはない。野田首相が、国民の懸念や反対を押し切り、日本農業に壊滅的な打撃を与えるTPPや、憲法9条を解釈改憲で骨抜きにしようとしていることを評価しているとしかみえません。
批判を気にしたのか、翌11日の囲み取材では「僕は野田首相が政界再編を見越した上で対立軸になるようなセンターピンを打ち出しながら物事を進めようとしていることについてすごいといったまで」と釈明しました。しかし、橋下氏の野田首相への期待は政治手法だけにとどまるものではありません。
もともと改憲という方向性は共通しています。TPPについては橋下氏が自ら「僕らはTPPを進めてもらいたい。そしたら、野田首相に頑張ってくださいと言わないと…」(11日)と語りました。
消費税については、増税を批判するよりも「野田首相は道州制をずっと言われている方だから、腹の底では道州に消費税を渡すしかないとご認識されていると思う」(10日)と推量。「僕の立場だとそれを口にできるが、首相の立場だと言えないのであろう」(11日のツイート)と思いやりまでみせています。
橋下氏の持論は、消費税の地方税化と引き換えに地方交付税を廃止するもので、「地方は4兆円損をする」と自分自身がツイッター(4月6日)で語っていたもの。「地方は…消費税を上げるか、サービスを削るしかない」(同)という最悪の仕組みです。
財界・米国の言いなり政治
橋下氏は10日の囲み取材で「野田首相の根本的な考え方は僕らと一緒だと思う」ともいいました。民意を顧みずに財界、アメリカ言いなり政治にまい進する野田首相に共感を寄せているのです。
ここには、古い政治をより強権的な手法で進めようとする、橋下・「維新」という逆流の正体が現れているといわざるをえません。 (藤原直)