2012年7月16日(月)
TPP参加 緊迫
首相、近く表明の危険
環太平洋連携協定(TPP)交渉への日本の参加問題が緊迫の度を強めています。財界は、一刻も早く決断するよう政府に働きかけており、野田佳彦首相が近く参加表明する危険があります。
野田首相は先の主要20カ国・地域(G20)首脳会議のときもオバマ米大統領に参加を表明できませんでした。農業、医療団体をはじめ多くの国民がTPP参加に強く反対し、与党、民主党内にも反対が強い上、消費税増税法案や原発再稼働で国会が緊迫した事態にあったためとみられます。
これに対し、経済同友会の長谷川閑史(やすちか)代表幹事は3日の記者会見で「カナダやメキシコが日本に誘発される形で(TPP)協議に参加すると表明したにもかかわらず、正式参加に関して日本が遅れをとってしまったこと自体は好ましくない」とすみやかな決断を求めました。
米倉弘昌経団連会長は消費税増税法案をめぐって小沢一郎氏のグループが民主党から抜けたことで「今後、野田政権がもっともっと重要な山積する政策課題に全力投球をしていってもらえるというような状況になったんじゃないか」(9日の記者会見)と野田首相をけしかけています。
経団連は6月には「一刻も早いTPP交渉参加の英断を求める」と副題をつけた提言を発表しました。提言は、米国で通商交渉開始90日以上前に政府が議会に通知する決まりになっていることを挙げ、日本が年内にTPP交渉に参加するにはいま参加表明するしかないと政府に迫りました。
8日行われた日米外相会談ではTPPも議題になり、クリントン国務長官は「日本の参加は大変重要だ」と早期交渉参加を促しました。玄葉光一郎外相も「日米が協力してアジア太平洋における貿易・投資のルールづくりをしていく意味は大きい。日米協議を前進させるようさらに互いに努力していきたい」と交渉参加に前のめりな姿勢を示しました。
日本共産党の紙智子参院議員・農林・漁民局長は野田首相の参加表明を許さないため、「反対の世論を国民大多数のものにしていくことが決定的」と呼びかけています。
紙議員インタビュー