2012年7月22日(日)
主張
原水爆禁止世界大会
「核兵器のない世界」の扉開く
広島と長崎にアメリカの原爆が投下されてから67年目の夏をむかえます。今年の原水爆禁止世界大会(国際会議8月2〜4日、広島大会4〜6日、長崎大会8〜9日)は、世界でも日本でも、新たな注目のなかで開かれます。
何としても「核兵器のない世界」への扉を開こうという新しい決意が広がりつつあります。
広がる新たな決意
昨年の国連総会では、核兵器禁止条約の交渉開始を要求する決議への賛成が史上最高となり、国連加盟国の約7割に達しました。核兵器廃絶を求めてきた非同盟諸国などとともに、NATO(北大西洋条約機構)加盟国も加わった16カ国が、核兵器使用の非人道性を訴える共同声明を発表したことも新しい試みとして注目されます。
2010年の核不拡散条約(NPT)再検討会議では、「核兵器のない世界の平和と安全」を実現することが合意されました。今年から2015年再検討会議の準備が始まり、その実践が正面から問われます。一部の核保有国の抵抗もあるだけに、多くの国が事態を動かそうと力を尽くしています。
こうした変化の根本には、日本をはじめとする世界の世論と運動があります。原水爆禁止日本協議会(日本原水協)などが集めた核兵器廃絶を求める署名が、昨年から国連本部の中にタワーのように積み上げられ、展示されています。国連総会でセルジオ・ドゥアルテ国連上級代表(当時)は、アラブの民主化運動にたとえて「核軍縮にも民主主義革命の流れが訪れている」と評価しました。
今年の世界大会には国連のアンジェラ・ケイン上級代表をはじめ、2国際機関、5カ国の政府関係者が参加します。日本の運動への熱い期待のあらわれです。世界大会が国際社会との共同をさらにすすめ、核兵器禁止条約を求める世論を大きく発展させる場になることが期待されています。
「核兵器全面禁止のアピール」署名には過半数の自治体の関係者が賛同し、今年の春によびかけられた原爆展も全国270カ所に広がっています。平和行進では昨年の参加者数を上回る県や自治体首長が横断幕をもって行進する例なども生まれています。文字通り国民的な運動を発展させる条件が広がっています。
本来なら被爆国・日本の政府がこの流れの先頭にたつべきです。ところが政府は、核保有国が賛成しないものは現実的でないと、核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連決議に棄権しています。被爆国にふさわしい役割を果たさせるうえでも、日本の運動の責務はいよいよ大きくなっています。
核廃絶と原発ゼロの連帯
原発再稼働反対の首相官邸前の抗議行動や「原発さようなら」を訴えた7・16集会の成功など、原発問題に対する怒りの声とエネルギーが、これまでにない規模で広がっているのも今年の特徴です。
昨年の世界大会で日本共産党の志位和夫委員長は、核兵器廃絶と原発ゼロをめざす運動が、それぞれの一致点を大切にしながら、「核」被害者を出してはならないという共鳴しあう接点で連帯を発展させることを訴えました。
いまこの方向で大きく運動を発展させ、原水爆禁止世界大会の成功をも勝ち取っていくことが求められています。