2012年7月31日(火)
違憲調査 大阪市を提訴
市職員「精神的苦痛受けた」
大阪地裁
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橋下徹大阪市長が2月に行った憲法違反の「思想調査」で精神的な苦痛を受けたとして、市職員(3月退職者含む)55人が30日、国家賠償法に基づき市に賠償を求め、大阪地裁に提訴しました。
橋下市長が野村修也市特別顧問(当時)に委託して実施した「思想調査(職員アンケート)」は、政治活動や組合活動、個人の思想に関する質問を業務命令として処分をちらつかせて脅し、回答を強制したもの。その範囲は市民・国民に向けられており、批判がわきあがりました。
訴状は(1)思想・良心の自由(2)政治活動の自由(3)労働基本権(4)プライバシー権(5)人格権―など憲法を侵害していると指摘。「原告らは耐え難い精神的苦痛を受けた」としています。
「自治体職員として市民のためにと働いてきたことを土足で踏み込まれた思い」という50代の保育士女性は「権利が普通に守られない職場は異常です。子どもや保護者のために安心して仕事をしたい」と訴えました。
処分が怖くてアンケートに答えてしまった同僚もいたと涙をこらえて訴えた50代の男性は「市長ではなく、市民の方に顔を向けて仕事ができる環境をつくっていかないかん。公平な審理をお願いしたい」と話しました。
井関和彦弁護団長は「思想調査がいかに職員に衝撃を与えたか、その違法性を裁判で明らかにしていきたい。内心の自由、思想の自由を偏った価値観で支配しようとすることは絶対に許してはいけない」と話しました。