2012年8月3日(金)
核兵器禁止条約への道 切り開いていくとき
原水爆禁止世界大会・国際会議
緒方副委員長の発言
原水爆禁止世界大会・国際会議で2日、日本共産党の緒方靖夫副委員長(国際委員会責任者)が行った発言要旨は次のとおりです。
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2015年に開かれるNPT(核不拡散条約)再検討会議にむけ、政府、市民社会が、核兵器廃絶条約締結にむけて、その時期・方法について話し合う国際会議の開催を求めるイニシアチブを強化することが求められています。今年の世界大会は、その戦略を構築し世界に働きかける大切な任務をもっています。
ウィーンの第1回準備委員会では、ノルウェー、スイスなど16カ国が、核兵器の非人道性をテーマにした共同声明「核軍縮の人道的側面」を発表する重要な前進がありました。核兵器の使用は国際人道法に抵触するものであり、その廃絶にむけて核兵器の非合法化の努力を訴え、再検討会議に向けた交渉でこの課題を重視すべきだと訴えています。
核兵器の使用が人類の生存を破壊し、不法かつ道義に背く人類社会にたいする犯罪であると断罪してきた原水爆禁止世界大会は、「人類と核兵器は絶対に共存できない」と繰り返し訴えてきました。この真実を広めることは、核兵器禁止条約(NWC)に向けたグローバルな運動を飛躍させる上で不可欠です。
NWC交渉開始のために、「核兵器現状維持」への固執と「核抑止」論を克服することは避けて通れません。
5月にシカゴで開かれたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議で採択された「抑止・防衛態勢の見直し」(DDPR)は、「同盟国の安全の究極の保証は、同盟の、とりわけ米国の戦略核戦力によって提供される。英国およびフランスの独自の戦略核戦力は、同盟国全体の抑止および安全保障に寄与する」とのべています。
同時に、今年3月、ソウルでオバマ米大統領は、改めて「核兵器のない世界」に触れ、その上での「アメリカの指導性は欠かせない」と表明しました。アメリカ政府が構想する「核兵器のない世界」への道筋とNWCへのすみやかな交渉開始を求める国際政治と国際世論とのかなりの乖離(かいり)を埋めるためにも私たちの運動が大きく飛躍することが求められます。
原水爆禁止運動には、核兵器廃絶、被爆者救援という一致点があり、それを瞳のように大切にして今日の運動をつくってきました。この原則を堅持しつつ、「原発ゼロ」の運動と連帯して力をあわせることは可能であるばかりでなく、その連帯・共同が強く求められています。
多くの市民が感じている放射能への不安は、放射能被害に向き合うと同時に、核兵器廃絶にも目を向ける機会ともなりえます。私たちは、原発ゼロの運動との連帯を内外でいっそう強め、NWCへの道を切り開いていくことを呼びかけます。