2012年8月3日(金)
原子力規制委
委員候補に原発マネー
5人中4人に計276万円
野田内閣が国会に示している「原子力規制委員会」の候補5人のうち、委員長(任期5年)候補の田中俊一・元原子力委員会委員長代理ら4人に、“原発マネー”が合計276万円、わたっていたことが、2日、政府が衆院議院運営委員会に提出した資料で分かりました。
「国民の信頼」に適合せず
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政府が提出した資料によると、田中氏は、2011年度に、「原発利益共同体」の中核団体である日本原子力産業協会(原産協会)や日本原子力文化振興財団、放射線測定企業の「千代田テクノル」から、原稿執筆、講演などの報酬として計29万2000円を受け取っていました。
講義報酬116万円
委員(任期3年)候補の更田(ふけた)豊志・日本原子力研究開発機構副部門長は、日本原子力発電から、03年度〜11年度に講義およびテキスト作成の報酬として計116万1000円を受け取っていたほか、原産協会の地方支部で、関西電力が中心になって設立、出資したとされる関西原子力懇談会から、03年度〜11年度の間に委員会謝金として計6回、計40万2000円を受領。
このほか、更田氏は▽原子力安全研究協会から04年度に2回、講演およびテキスト作成の報酬を受領(1回は7〜8万円、もう1回は不明)▽三菱重工業・原子燃料工業から03年度ごろに委員会出席謝金(1〜3万円)を受領▽日本原子力文化振興財団から93年度ごろに講演への報酬(約8000円)―がありました。
任期3年の日本アイソトープ協会主査の中村佳代子氏は、11〜12年度に、日本原子力文化振興財団と放射線影響協会から講演謝金、委員会謝金として計20万1000円を受け取っています。
任期2年の島崎邦彦・地震予知連絡会会長は、09年度に東京電力のグループ会社、東電設計から11万1000円など、08年度〜10年度までに計59万1000円の講演料を受け取っています。
基準年間50万円
野田内閣の人選基準は、直近3年間に電力会社など原子力関連企業・団体から年間50万円以上の報酬を得ていたりする人は除外するというもの。
2日の衆院議院運営委員会理事会に出席した斎藤勁(つよし)官房副長官は、「すべて基準の枠内で問題はない」としましたが、同規制委員会設置法の「利用と規制の分離」「原子力安全規制に対する国民の信頼を得る」という趣旨に適合するのかどうか、厳しく問われています。
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