2012年8月10日(金)
主張
世界大会閉幕
核兵器禁止条約へ共同を強め
広島と長崎で開かれていた原水爆禁止2012年世界大会が閉会しました。核兵器禁止条約の交渉開始を求める声が、国際政治でも、市民のレベルでも圧倒的な流れとなるなかでの大会となりました。
15年再検討会議にむけ
マレーシアのマズラン・ムハンマド軍縮大使は広島大会で発言し、同国が毎年国連総会に提出している核兵器禁止条約の交渉開始をもとめる決議が「一部の核保有国を含む国連加盟国のあいだで支持を広げている」と強調しました。昨年は、130カ国がこの決議に賛成しています。
大会にはじめて参加したアンゲラ・ケイン国連軍縮問題担当上級代表も、広島での日本共産党の志位和夫委員長との会談で核兵器禁止条約の重要性を強調しました。
2010年に開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議は、「核兵器のない世界の平和と安全」を実現することを合意しました。核兵器禁止条約は、その具体化、実践となるものです。
今年から15年のNPT再検討会議の準備が開始されているだけに、各国の参加者にも強い意気込みが感じられました。「核兵器禁止条約の交渉開始を求める国際的な世論を発展させよう」という大会のよびかけが、世界に大きく響こうとしています。
松井一実広島市長も広島市主催の平和記念式典で、来年8月に核兵器禁止条約をよびかける平和市長会議の総会を広島で開くことを明らかにしました。
こうした流れにたいする最大の障害が「核抑止力」論です。被爆国である日本の政府が、「核抑止」と「核の傘」に固執して、この世界的な圧倒的流れに逆らっていることは、まことに恥ずべきことです。それを打ち破る力は草の根からの世論と運動です。
世界大会では、市民の運動と国連、諸国政府がこれまで以上に力を合わせようと、心の通った決意が示されました。
潘基文(パンギムン)国連事務総長が世界大会によせたメッセージは、署名や青年などの活動を高く評価し、「核兵器廃絶という崇高な目的を達成する運動で、みなさんをパートナーとすることを誇りに思います」とエールを送りました。ニュージーランドのマレー・マカリー外相はメッセージで、「核兵器の破壊的な人道的影響」を強調し、それは「世界大会が長年にわたって強調してきた点だ」「みなさんと固く連帯する」と表明しました。
この思いは自治体の間にも広がっています。「核兵器全面禁止のアピール」署名への賛同も全自治体の6割に達し、平和行進や原爆展などで協力・共同が発展しています。地域ぐるみの運動が政府に被爆国にふさわしい行動をせまる大きな力になろうとしています。
「核」被害をださない
原水爆禁止大会は「原発ゼロ」の運動が空前の規模で発展しているもとで開かれました。官邸前行動や「さようなら原発大集会」に10万人、20万人という人々が参加し、声をあげているのは、日本の歴史を変える希望ある出来事です。
大会では、「核兵器のない世界」をめざす運動と「原発ゼロ」の運動が、どんな形であれ「核」による被害者をだしてはならないという点で大きく連帯し、相乗的に発展をとげることが強調されました。