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2012年8月13日(月)

日航機墜落事故から27年

安全願い御巣鷹登山 群馬・上野村

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(写真)墓標に手を合わせる遺族ら(右)と、演奏する男性=12日、群馬県上野村

 乗員乗客520人が犠牲となった1985年の日航ジャンボ機墜落事故から27年の12日、事故現場の群馬県上野村の御巣鷹(おすたか)の尾根には、早朝から多くの遺族らが登山し、犠牲者を追悼し、航空の安全を願いました。

 遺族らは、前夜の雨でぬかるんだ足元を気にしながら登山。山の斜面に立てられた犠牲者の名前を記した墓標の周りを掃除し、花や線香を供え、じっと手を合わせていました。

 腰を折り曲げて登る頭髪の白い女性や、「遺族はみな亡くなったので、私が引き継いで登るんです」という初老の女性の姿が。若者や小さい子ども連れで登る人の姿も目立ちました。

 大阪府河内長野市の男性(82)は、事故で長男=当時(27)=を失いました。「毎年来ていますが、いつまで来られるか。息子は親思いの子でした。二度と事故は起こさないでほしい」

 家族や親せきら10人で来ていた静岡市の男性(47)は、妻の妹の夫の兄が事故で亡くなりました。「事故が風化すると、安全がおろそかになってしまう。どこの会社も経費というと安全の方から削減してしまいますが、事故は簡単なことが原因で起きているとも聞きます。日航も、どの交通事業者も、ちゃんとお金をかけて安全を確保してほしい」

 前橋市の男性(65)は、遺族の心を慰めようと、毎月登山してデジタルホン(電気で奏でるサックスのような楽器)で演奏し、3年目になります。

 この日も事故で亡くなった歌手の坂本九さんの「見上げてごらん夜の星を」などのメロディーを尾根に響かせました。

 「子どもも多いので、童謡も演奏しています。もみじのような手を合わせているのを見ると、演奏しながら涙が出てしまいます。関越自動車道でもバス事故が起きましたが、安全を大切にしてほしい。事故を風化させたくない」

 客室乗務員だった妹=当時(29)=を失った女性=兵庫県三木市=は、「妹は上品で責任感の強い子でした。最後までお客さんのために尽くしたはずです」と振り返ります。「事故が教訓になっていませんね。安全はそんなに安くないんですよと言いたいです。安上がりなことをして事故が起きたらかえって大変です。悲しむ人をもう出さないでほしい」


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