2012年8月15日(水)
日航未公開株250万株取得
稲盛名誉会長が創業の京セラ
上場で 約45億円の“利益”も
9月に東京証券取引所への再上場が承認された日本航空の株をめぐり、同社の稲盛和夫名誉会長が創業した京セラ(京都市)が、第三者割当増資を引き受け、未公開株を購入していたことが14日までに分かりました。購入価格は、日航が再上場時に想定している売り出し価格のほぼ半額で、京セラは45億円近い“利益”を得ることになります。
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日航が今月3日に関東財務局に提出した有価証券届出書によると、京セラなど8社は、日航の更生計画が終了する直前の昨年3月15日に、国が保有する日航株と同額の1株あたり2000円で合計127億円を出資しました。京セラは、再上場の主幹事を務める大和証券グループ本社(東京都)とならんで50億円ずつ出し、それぞれ250万株を購入しました。(表参照)
他の6社は、損保などの機関投資家や、日航と関係の深い旅行業者。京セラだけが異質で、株数も突出しています。
日航は、同届出書で、再上場の際の総売り出し株数1億7500万株のうち、国内売り出し株数を1億3125万株、想定売り出し価格を3790円とし、売り出し価格総額を4974億3750万円と見込んでいます。
売り出し価格は、需要状況などを勘案のうえ、9月10日に決定される予定ですが、仮に想定価格の3790円で決まった場合、京セラには、1株あたり1790円、総額にして44億7500万円の“利益”が生まれることになります。ちなみに稲盛氏は京セラの個人筆頭株主(2・93%保有)です。
日航の第三者割当増資問題は、国会でも「日航の二次破たんが懸念された中で、8社が増資に応じたのは、更生手続きの終了などで、再上場後の値上がりが確実な情報を知っていたからだ」などと、取引の経緯の不透明さが取り上げられました。
日航の未公開株は、大西賢会長、植木義晴社長ら20人の役員も、1人20万円分、100株ずつ、2010年12月24日に購入しています。
人減らしの一方で巨利
JAL不当解雇弁護団の安原幸彦弁護士の話 日航は、昨年2011年3月に京セラ、大和証券などに、一昨年12月には役員20人に未公開株を割り当てました。10年10月に解雇をしているわけですから、右手で首切りをして、左手でポケットにお金を入れる算段をしていたということになります。
こうした役員へのぬれ手であわの報酬の問題は、東京地裁段階でも指摘してきたことです。当時は、再上場が決まっていなかったため、さまざまな角度から追及しても、日航側は、弁解を重ねてごまかすことに終始していました。
ここに来て、京セラなどの企業とともに、役員がこれだけの利益を得ると具体的事実で明らかになり、経営陣の不正義はいよいよ明白になったと思います。
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