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2012年9月3日(月)

TPP前提の“改革論”に怒り

低価米輸出で国際競争 転作やめ輸入で安上がり

稲刈り本格化の千葉県

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 関東の早場米地帯の千葉県では、新米の収穫が本格化しています。農家の関心は米の品質とともに米価の動向です。そんな農家にたいし環太平洋連携協定(TPP)参加のため“低米価にして輸出すれば農業が再生する”という財界や野田内閣の“農政改革論”を紹介すると、「国民に安全安定供給を考える政策ではない」と怒りの声が出されました。(中沢睦夫)


安心・安全の供給保障ない

生産費割る米価

 同県の北部に位置する成田市の羽鳥地区で8月27日、早生品種米「ふさおとめ」の品質検査がおこなわれました。出荷した男性ん(63)は、「放射能は問題ないと県から連絡をうけて一安心だよ」といいます。慎重におこなった検査はすべて1等米でした。

 話題は今年の価格動向に。8月初旬出荷の宮崎県コシヒカリは60キロで2万円を超えました。その後、豊作予想情報もあり下落しています。成田市の農協が提示した価格は8月中が60キロ1万4200円。9月になれば毎週1000円ずつ下がっていくとの業者情報があると男性はいいます。

 農水省の米生産費調査では、他産業並み労賃を実現できて再生産が可能な米価は平均で1万6600円です。

 米価について、財界のお先棒をかつぐ一部マスコミや政治家が“1万円以下の低価格米にして国際競争力をつけろ”、“中国に輸出し農業を再生する”などと主張しています。

 男性は、「それじゃ、自分でやってみろよ。なぜ後継者がいないのか考えてみればわかる。いまの米価では暮らせないからだ」と怒ります。

規模がケタ違い

 “大規模化して生産コストを下げて国際競争する”とは、財界の年来の主張です。

 野田内閣もTPP参加を前提にした「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」(2011年10月)では、農地の出し手に奨励金を出し、平場では20〜30ヘクタール、中山間地では10〜20ヘクタールの大規模化をするといいます。輸出拡大策も予算化しています。

 仮に30ヘクタールになっても、TPP参加国のアメリカは200ヘクタール、オーストラリアは3000ヘクタールの規模です。日本と規模が桁違いで、関税ゼロで輸入されるTPPの前では、太刀打ちできません。

 日本産米の輸出をしている販売状況調査(2007年)をみてもアメリカ産は日本産の5分の1の低価格です。

 後継者がいない農家の水田も引き受けて8ヘクタールのコメ作りをしている男性(62)は、「水田がちらばっているので30ヘクタールは無理だ。少人数では水や農道の管理もできない。農地の出し手に奨励金より、後継者がでるよう、再生産ができる米の価格保障をすべきだ」と話しました。

 財務省は、水田の転作として小麦や大豆を国内でつくることをやめ、外国産小麦を輸入して備蓄すれば“安上がり”との文書を8月に公表しています。

 千葉県農民連の小倉毅事務局長は、「われわれに作らせず、農薬残留の小麦を備蓄するのか。いかに国民に安全で安定して食料を供給するか、水田を活用して環境保全を考えるかが政治だろうに。商社の発想だ」とあきれ顔に語りました。


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