2012年9月9日(日)
ヘリ談合疑惑
「仕様書案」を提供
防衛省が密談で川重側に
防衛省発注のヘリコプター開発事業をめぐる官製談合事件で、同省担当幹部が受注した川崎重工業担当者と、事業の公告前に秘密会合を開催。ヘリに必要な機能を記した「仕様書案」、「評価基準案」などを提供し、川重が有利に受注できるための相談をおこなっていたことが8日、川重側の内部文書などで明らかになりました。
議事録を本紙入手
ヘリコプター開発事業は、陸自が使用する新多用途ヘリ(UH―X)を開発するものです。同省が2011年9月に事業を公告し、川重と富士重工業が応募。両社の技術提案書を審査した結果、川重が技術力とコスト面で上回っているとして今年3月に同社と随意契約を結びました。
担当の2佐が
本紙が入手したのは「仕様書、評価基準の調整 取扱厳重注意」と題した川重の議事録です。それによると秘密会合は、11年5月18日の午後1時から防衛省航空装備研究所のエンジン研究室で開かれました。防衛省側はヘリ開発担当の2佐が出席。川重からの出席者はヘリ設計部の副部長(当時)ら3人です。
説明し理解を
「目的」欄には「要求性能評価基準、(その1)仕様書の調整」と書かれており、事前調整のための秘密会合です。
議事録には「官配布資料」として「仕様書案」、「評価基準案」と明記し、「取り扱い厳重注意の資料です。絶対外部に出ないように!」と注意書きをつけています。川重が契約を有利にすすめるために必要な資料を、防衛省担当者から極秘に事前提供されていたことがわかります。
会合の内容も詳細に報告しています。評価基準への対応について「配布資料に基づき、指摘事項を説明し内容を理解いただいた」「基本的にKHI(川重)の指摘を反映していただけるとのこと」などと記述。仕様書も同様に「内容を理解いただいた」「(仕様書の)最新案を配布いただき確認した」としています。2佐が評価基準書や仕様書を川重の有利になる方向で作成しようとしていたことが浮かび上がります。
秘密会議に出席していた川重の担当副部長は本紙にたいして、「答えられない」と取材を拒否しました。
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