2012年9月13日(木)
主張
電機大リストラ
雇用と地域経済の破壊許すな
電機産業の大手を中心に大規模なリストラがすすんでいます。12万人を超えるといわれる人員削減と、工場閉鎖・縮小・売却によって、雇用と地域経済が深刻な危機に直面しています。
際立つ身勝手、横暴
今回の電機リストラでの経営者の身勝手、横暴は目にあまるものがあります。かつて圧倒的なシェアを誇っていたデジタル家電や半導体の収益悪化などで危機感をあおり、何の責任もない労働者の大量首切りを次々にうちだしています。電機各社は、2008年のリーマン・ショック後、労働者の削減と賃金抑制、下請けたたきをすすめ、利益をため込んできました。主な電機企業で27兆円の内部留保があります。にもかかわらず、また収益が悪化したことを口実に労働者の首を切る。こんなことが許されていいはずがありません。
NECの遠藤信博社長は、6月の株主総会で「1万人の人員削減で業績回復」を図り、13年3月期に年間4円の株主配当をすると約束しました。労働者と家族の生きる糧を奪って株主に奉仕するという横暴の典型がここにあります。
各社の人員削減の手法は、希望退職募集という名による強引な退職強要と、とうてい同意しがたい遠隔地への配転です。NECではメンタル疾患で休職中の労働者にまで面談をおこない、さらには「応じない」と意思表示しているのに10回も面談に呼び出されてうつ状態に追い込まれた労働者もいました。パナソニックなどでは、遠隔地への配転に応じるか退職するかをくりかえし迫られ、泣く泣く退職せざるをえない事例があいついでいます。あまりにもひどすぎるやり方です。
電機リストラのもう一つの特徴は、国内の工場閉鎖・縮小・売却を広範囲に進めていることです。たとえばルネサスは、国内18工場のうち13工場を売却、縮小する方針です。この結果、全国各所で雇用が失われ、下請けが経営危機におちいり、自治体が税収落ち込みに見舞われるなど地域経済に深刻な打撃を与えています。
「雇用を守れ」「地域経済を守れ」という運動が各地でおこっているのは当然です。
職場では、電機労働者懇談会や電機・情報ユニオンに参加している労働者たちが、退職強要は明確な違法・犯罪行為であるとして、「退職強要をやめよ」と宣伝にとりくんでいます。ユニオンに加入して会社と団体交渉する事例もみられます。
また日本共産党や民主団体を中心に「地域経済を守る会」をつくって、宣伝や県、市への要請など地域ぐるみの運動も広がっています。このなかで自治体首長や経済団体代表らが企業に「従業員規模の確保」を要請するなどの動きも広がっています。
社会的責任を問う
日本経済の前途を危うくする電機大手のリストラにたいして民主党政権も自民党も、連合労組も何の手だてもとらず、企業はやりたい放題です。
日本共産党は、国会や地方議会で不当性を追及し、関係省庁に是正指導を求めるなど、雇用と地域経済を守るために力をつくしてきました。電機大企業に社会的責任を果たさせるために、職場、地域のたたかいに連帯し、いっそう奮闘する決意です。