2012年9月23日(日)
オスプレイ 生息域飛行
絶滅危惧種 イヌワシが危ない!
21日に試験飛行を開始した米海兵隊機MV22オスプレイ。米軍が計画している同機の低空飛行訓練で、野鳥が危機にさらされようとしています。
日本自然保護協会は今年7月に発表したリポートで、オスプレイ配備に向けた「環境レビュー」が示した六つの低空飛行訓練ルートが、自然環境保全法で定められた重要な自然保護地域の上空を通過し、ルート下には絶滅危惧種であるイヌワシやクマタカ、ライチョウの生息域があることを明らかにしました。
国の天然記念物であるイヌワシの生息数は現在650羽と推定されています。訓練ルートはイヌワシの生息域(北海道を除く)の約12%(12県)を通過することになります。
環境省は「猛禽(もうきん)類保護の進め方(改定案)」で、イヌワシが繁殖を失敗した例として、「ヘリコプター飛行をともなう送電線鉄塔の建設・点検」(24例4カ所)などをあげ、航空機の騒音がイヌワシの繁殖を阻害することがあるとしています。
ところが、環境省は政府が定めた基準とオスプレイの運用が明らかに矛盾することを自覚しながら、今日まで沈黙を続けています。
日本自然保護協会の志村智子保護プロジェクト部長は、「地上60メートルでの飛行も想定されるオスプレイの訓練は、騒音や風圧などで、重要な自然環境に深刻な打撃を与えることが危ぐされる」と指摘。「自然保護の知見を一切無視して、米国の都合だけで訓練を認めることに憤りを感じる」と語ります。
米国内では国内法で住民の安全や環境に配慮が加えられるのに、日米安保条約下の日本では国内法があってもオスプレイの訓練が自由勝手に行われるという実態を浮き彫りにしています。
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