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2012年10月3日(水)

オスプレイでヤンバルの森は

200℃の熱 下降気流

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 米海兵隊の新型垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄への配備を強行した日米両政府。同県の北部訓練場で予定されている低空飛行訓練などで「環境への重大な影響はない」(米軍作成の「オスプレイ普天間基地配備と日本での運用に関する環境レビュー」)との強弁に、生物多様性に富む山原(やんばる、沖縄本島北部の通称)の森を知りつくす関係者は「調査は生態系の実態を無視した配備ありきの結論だ」と反発します。 (山本眞直)


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(写真)北部訓練場で電柱すれすれの低空飛行訓練をする米海兵隊のCH46ヘリ。オスプレイも同様な訓練を実施する予定=2010年5月、沖縄県国頭郡の県道70号

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(写真)ヤンバルの森で野生生物を観察、撮影する湊和雄さん=9月26日、沖縄県東村高江で

生態系に影響大

沖縄の専門家、米軍評価に反論

 環境レビューによれば北部訓練場(国頭郡国頭村、東村)では、オスプレイの主要な任務とされる「艦船から離陸し、迅速に人員、装備及び補給物資を前線戦闘区域に輸送する」ための訓練を年間3864回実施します。

 住民の反対運動を無視して東村高江で建設が強行されているオスプレイパッド(着陸帯)でも、完成後には低空飛行訓練などを年間1260回を計画しています。

 環境レビューは、訓練によるヤンバルの森への影響は「最小限にとどまる」と評価。天然記念物のヤンバルクイナなどが確認されているものの、追加的な調査を実施し、巣作りなどをしていれば「適切な緩和措置をとる」としています。

特徴認識せず

 これに対し「評価のもとになる調査が、それぞれの生態の特徴を認識せずに行っている印象が否めない」と指摘するのは、ヤンバルの森を34年間、観察し続けている昆虫・動物写真家の湊和雄さん(53)。この森に生息する16種の全ての天然記念物を単独で撮影した最初の写真家です。

 安易な調査例としてあげたのが天然記念物で絶滅危惧種のヤンバルクイナの記述。環境レビューは着陸帯付近で繁殖期に巣作り調査を複数回実施し、巣が発見されればその着陸帯でのオスプレイの運用を30日間停止する、としています。

 湊さんは厳しい表情でいいます。

 「クイナの生息域はオスで約10ヘクタール、メスは14ヘクタールという広い範囲をテリトリーに動き回る。とまり木もひんぱんに変わる。複数回の調査で生態を正確に把握することは不可能だ。ホバリング(空中停止)によるオスプレイのエンジン(ナセル)から出される猛烈な下降気流と200度以上の熱風が障害となり、クイナやノグチゲラなどは巣の放棄を迫られる」

 天然記念物・絶滅危惧種でも無視されているものもあるといいます。例えばコノハチョウ、フタオチョウです。オスが繁殖行動の一部として、高木のこずえでひんぱんになわばりをはります。オスプレイが飛べば強烈な下降気流で地上にたたきつけられ死んでしまうか、繁殖率に重大な影響を及ぼしかねない、と指摘します。

 湊さんは力を込めます。「最大の問題は、狭く限られた森の生息環境がオスプレイの低空飛行などで分断され、空白域の拡大で多様な生物の生存と繁殖が脅かされることだ」

「ゆで上がる」

 ヤンバルの森で青年期に炭焼きを体験しているヘリ基地反対協代表委員の大西照雄さん(69)はオスプレイ配備でヤンバルの森は確実に劣化すると警告します。

 「“ブロッコリーの森”の大半はイタジイなどの照葉樹林。激しい太陽から身を守るために葉は油で包まれている。オスプレイの強烈な下降気流と熱風で『森はゆで上がる』。竹や松の落ち葉に発火したら風を呼び、消し止められない」

 墜落の危険に加え、ここは県民の水源地。世界自然遺産候補のヤンバルの森を失うことは沖縄の持続的産業経済を衰退させると指摘し、こう訴えます。「日米両政府はオスプレイの配備撤回、高江オスプレイパッド建設をやめよ」


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