2012年10月22日(月)
連結納税 我も我も 1万突破
大企業に減税恩恵 年間で5879億円にも
国税庁が公表した資料によると、今年6月末時点で連結納税を適用している法人数が、親法人・子法人合わせて1万779社となり、2002年度の同制度創設以来初めて1万社を突破しました。この制度による減税額は、国税庁のデータから推計すると、11年度1年間だけで5879億円にもなっています。
国税庁は、03年以降、毎年6月末時点の連結納税を申請している企業数を公表してきました。今年6月末時点では、親法人1288社、子法人9491社で、合わせて1万社を突破しました。
トヨタ、日産、ホンダ、ソニー、東芝、三井物産、野村ホールディングスなど、日本有数の企業は、以前から連結納税を適用してきましたが、それに加えて、ここ1、2年、連結納税を選択する企業グループが急速に増えています。11年度には三菱商事、スズキ、富士重工、川崎重工、オリックス、資生堂、キッコーマン、大林組、富士フイルムなどが新たに連結納税を適用、12年度からは、これまでに判明しただけでも、経団連会長の出身企業である住友化学をはじめ、三井化学、エーザイ、セイノーホールディングスなどが、連結納税を適用すると有価証券報告書に書いています。
国税庁のデータによると、11年度の連結納税法人の申告所得額は3兆375億円でした。連結しないでグループ内の黒字法人だけが個別に申告した場合の所得は4兆9973億円ですから、連結したことによって、赤字企業の損失と相殺され、1兆9598億円も少なくなっています。これに法人税率30%をかけて計算すると、減税額は5879億円ということになります。連結納税を選択する企業が増えるにつれて、減税額も大きくなってきている傾向があります。
日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の話 連結納税制度は大企業・財界の強い要望に応えて導入されました。この制度によって減税の恩恵を受けることができるのは、企業グループを持つことができる大企業ばかりです。こうした特権的な優遇制度をやめて、もうけをため込んでいる大企業に応分の負担を求めることが必要です。
|
|
連結納税制度 100%出資の子会社について、その所得を親会社と合算して法人税を計算する制度です。合算したグループ企業の中に赤字企業があると、黒字企業の所得と相殺されるため、法人税が安くて済む計算になります。この制度を適用するかどうかは企業自身の選択制で、選択する場合は事前に税務署に申請しておくことになっています。