2012年10月23日(火)
学費ローン 兵士も深刻
支払い滞り軍務に支障も
アメリカ
【ワシントン=小林俊哉】米軍が、兵士の学費ローン負担問題に頭を抱えています。高学費ローンを抱えながらの従軍で、支払いが滞り、軍務に支障をきたす事態も発生しているためです。パネッタ国防長官は「彼らの犠牲が、学費ローンの支払いで、一層つらいものとなることはあってはならない」と強調しています。
兵士に限らず米国の高学費問題は深刻です。卒業時の平均学費負債は2万5000ドル(約200万円)を超えると推計されており、厳しい就職状況などから、学費負担の減免は青年層の強い要求となっています。16日に行われた大統領候補者討論会でも、学費問題についての質問が出たほどです。
国防総省によると、兵士の41%が学費ローンを抱えており、住宅ローンの負債などと相まって、借金が多額なために従軍基準を満たさなくなる兵士も出ているといいます。
兵士には、従軍前に発生した学費ローンについては、利率を6%以内に抑制するとした優遇措置が法制化されています。就職難に加え、こうした優遇措置を見越して入隊する青年も多いとみられます。
しかし、国防総省によると、事務手続きの煩雑さや、ローン企業の誤った誘導などで、同措置が守られないケースがあるといいます。金融被害からの保護を目的とする米消費者金融保護庁のホーリー・ペトレアス副責任者も、戦地に派遣されないと優遇措置は適用されないなど、誤った説明をするローン企業があると批判しています。
パネッタ氏は18日の記者会見で、「兵士たちは、金もうけの標的にされている」と主張。学費ローン企業に対し、「(誤った情報で)兵士たちを混乱させるようなことはあってはならないし、業界によるこのような振る舞いは法律違反だ」と強い調子で警告しました。