2012年10月25日(木)
「日本維新の会」、松井幹事長に違法献金
親族企業が秘書給与肩代わり、4年間で1740万円
オンブズマンが大阪地検に告発
日本維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事が、社長を務めていた会社「大通」(大阪府八尾市)から秘書給与の肩代わりを受けたのは、政治資金規正法が禁じる違法な企業献金などにあたるとして24日、「政治資金オンブズマン」のメンバーら27人が、松井氏らを同法違反容疑で大阪地方検察庁に告発状を提出しました。
告発状などによると松井知事が府議時代、政治団体「松井一郎後援会」の活動に従事した秘書2人に対し、「大通」から秘書給与相当額が支払われていたとされます。少なくとも2007年から10年末までに秘書の口座に、「大通」から毎月20万円ずつ、総額約1740万円が振り込まれていたといいます。
この問題を報じた「読売」(2011年11月29日付)によると、2人は松井氏の「秘書」の名刺を持ち、陳情の対応や葬儀の代理出席などの秘書業務に従事。会社には出勤せず、松井知事の地元事務所に通勤していたとしています。
当時の取材に松井知事は、秘書給与を会社が支払っていることを認めています。
告発状は、この行為は、同社から政治団体「松井一郎後援会」への「違法な企業献金」だと指摘。
さらに同後援会の政治資金収支報告書4年分(07〜10年)に、「大通」からの寄付を記載していないことは、政治資金規正法違反(不記載)だとしています。
同日の会見で、告発者の一人のジャーナリスト・西谷文和さんは「松井氏は大阪府知事であり、『日本維新の会』の幹事長という金庫番でもある。『維新の会』はグレートリセットをいうが、幹事長自身が古い政治体質の持ち主だ」とのべました。
代理人の阪口徳雄弁護士は「今回の事件で、松井知事は企業献金をもらう側でもあると同時に渡す側なので、彼が知らないとはいえない。収支報告の不記載も松井氏の指示がないとは考えられず共謀・共同正犯だ」と指摘しました。
松井知事は10年4月に大阪維新の会の結成に参加し、同年9月に自民党を離党。松井氏は当時、三つの政治団体の代表など(表参照)を務めていました。秘書らとの“雇用関係”をどの政治団体と結んでいても、松井知事が規正法違反であることには変わりません。
大通から振り込みを受けていた秘書らは、島松洋一府知事特別秘書と前田洋輔・八尾市議の2人です。大通の現社長は松井氏の弟。
〈告発した相手とその行為〉
・松井知事と同後援会の会計責任者…政治資金収支報告書の不記載(規正法25条)
・大通…違法な企業献金の供与(同26条)
・政治団体「松井一郎後援会」…違法な企業献金の収受(同)
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企業献金と政治資金規正法 政治資金規正法では、企業や団体からの献金は、政党やその支部、自民党の国民政治協会といった政治資金団体にしか認められません。それ以外の「資金管理団体」や「その他の政治団体」への献金はいかなる額でも違法です。違法な企業献金を禁じた同法26条に違反した場合は、「1年以下の禁錮、または50万円以下の罰金」。収支報告書の不記載(25条)は「5年以下の禁錮、または100万円以下の罰金」です。