2012年10月27日(土)
主張
34カ国声明
核廃絶は現実の政治課題だ
核兵器の廃絶に真剣に取り組む国際世論が、着実に広がっていることを実感させます。34カ国の政府が共同で核兵器を禁止、廃絶する努力を強めるよう、世界各国に呼びかけました。核兵器廃絶が現実の政治課題であり、その実現にいっそうの努力が求められていることを鮮明に示しています。
核を二度と使わせない
広島・長崎の被爆は、人類が核兵器と共存できないことをいまに教えています。その原点に立ち返り、核兵器の使用は人道上許されないとする声が国際社会に広がっています。共同声明は被害の多面的検討を通じて核兵器の非人道性を明らかにし、使用への「深い憂慮」を表明しており、国際社会の流れを象徴するものです。
声明は、核兵器が二度と使われないようにしなければならず、それには後戻りのできない廃絶しかないと強調しています。それが核兵器をめぐる議論の行き着くべき結論であることを、説得力をもって解き明かしています。
核兵器の危険性への理解を高めるうえで、市民社会が「決定的な役割を果たしている」とも指摘しています。核兵器による惨禍を身をもって知り、核兵器廃絶を絶えず世界に働きかけてきた日本国民にとって大きな励ましです。
今回の声明には前身があります。5月に開かれた2015年核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた準備委員会の席上のことです。核兵器の非人道性を指摘し、廃絶を主張した共同声明が発表されました。その内容のほとんどが今回に引き継がれています。
前回からの発展もあります。核兵器廃絶に関する国際政治の流れを跡付けたことです。ヒロシマ・ナガサキの惨禍を見据え、最初の国連総会決議(1946年)が核兵器廃絶を掲げたこと、さらにNPT(68年)、第1回国連軍縮特別総会(SSD1、78年)とたどり、核兵器の脅威が戦後の国際政治の重大問題であり続けてきたことを浮き彫りにしています。核軍拡競争の主因となった米ソ「冷戦」が終わり、21世紀になったいまもなおその脅威が続いていることを重大視しています。
前回声明はバチカンを含む16カ国が参加しましたが、今回は34カ国にバチカンを加え2倍以上に増えました。非同盟諸国や「新アジェンダ連合」の国々など核兵器廃絶の努力でおなじみの顔ぶれとともに、永世中立国スイスとオーストリア、米ソ核実験の被害者マーシャル諸島とカザフスタン、北大西洋条約機構(NATO)加盟のノルウェーとデンマーク、中南米諸国なども参加しています。
そこにいないのが日本です。野田佳彦政権は、共同声明への参加を求められた際、「我が国の安全保障政策の考え方と必ずしも一致しない」として、参加を拒否しました。米国の核の傘に依存し、米国の立場からしかものをみない日本政府の実態です。その姿勢は核保有国のそれと変わらない地点まできているのです。
日本が廃絶への障害に
核兵器の禁止・廃絶への最大の障害となっているのが核兵器保有国による核への固執です。世界の大多数の国は核兵器の廃絶を支持し、核固執を破ろうとしています。唯一被爆国である日本の政府がその障害になっていることは絶対に許せません。