2012年11月1日(木)
日立の原発企業買収
英環境団体が批判
【ロンドン=小玉純一】日立製作所が10月30日、英国企業ホライズン原子力発電を11月中に買収し、2カ所で原発を建設する方針を発表したことについて、英国の環境団体は批判を、英政府や関係労組は歓迎を英メディアに表明しています。
ホライズンを所有するドイツのエネルギー大手エーオンとRWEは、ドイツ政府の原発撤退決定を経て、資金問題を理由に英国のホライズンの事業計画からの撤退を今年3月に決めていました。
環境団体、地球の友のガイ・シュラブソル氏は「これは日立にとって危険で高くつくギャンブルだ」「政府の約束と違って国民が結局、負担することになる。原発は常に工期が遅れ予算オーバーだ」と語っています。
英国の発電での原発依存率は2割弱。英政府は、老朽化した原発の更新計画を進めており、全国8カ所に代替の原発設置を予定しています。ドイツ大手が撤退し、日立が参入したのはこのうちの二つ。
キャメロン首相は同日、声明を発表。「新しい電力インフラへの貢献」「建設で1万2000人、稼働で1000人の雇用を支える」と述べ、歓迎しました。
日立の計画は、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)で、英国の既存の原発や他社とは異なるタイプ。英国の規制当局の承認を得るのに数年かかる見込みです。環境団体グリーンピースのレイラ・ディーン氏は「利用者が結局いくら負担するのかを調べるのに数年待つよりも、原発をやめ再生可能エネルギーに投資すべきだ」と語っています。