2012年11月10日(土)
公債特例法案に対する
佐々木議員の質問
衆院本会議
日本共産党の佐々木憲昭議員が8日の衆院本会議で行った、公債特例法案に対する質問は次の通りです。
今回提出された法案は、通常国会で廃案となったものとまったく同じものです。通常国会で与党・民主党が衆議院で一方的に採決を強行し、参議院で審議未了、廃案となったからです。強引な議会運営をどう反省しているのでしょうか。
政局に使うな
自民・公明両党は、この法案の審議を衆議院の解散日程を明示することとからませる挙に出ました。野田内閣は地方の自主財源である地方交付税を出し渋るなど国民生活を支える財源を人質に取る作戦に出たのです。政局の駆け引きの道具として使うことはあってはならないことです。
民自公を除く野党8党は、「公債特例法案は政局の駆け引きの道具にすることなく手順を踏んで十分な審議を行うこと」を与党・民主党に求めてきました。民自公3党は密室協議で消費税大増税法案を強行した「増税仲間」です。その仲間同士で解散「時期を言え」「言わない」と“内輪もめ”をしているのです。
公債特例法案は、今年度予算の財源を確保するためのもので予算と一体のものです。今年度予算は消費税増税を前提とし、年金支給額や子ども手当削減など社会保障の連続改悪を進めるものです。国民の多くが生活を切り詰め、将来不安を抱えている時、野田内閣は2015年までに約20兆円もの新たな負担を庶民に押しつけようとしています。国民の暮らしも経済も財政も破壊する道に踏み出す予算であり、賛成できないのは当然です。
さらに中止を公約した八ツ場ダムの復活をはじめ東京外郭環状道路などの無駄な大型開発を次々と復活させ、F35を次期戦闘機として買い入れるために総額1・6兆円も費やすなど税金の無駄遣いを広げるものです。
大企業は減税
富裕層や大企業には減税の大盤振る舞いが行われ、年間1・7兆円もの新たな減税を実施した上、さらに法人税の減税を目指しています。税制法案原案にあった、ささやかな「富裕層への増税」も3党合意で削除され、低所得者対策も「検討する」というだけで具体的内容が見えません。これらの課題を棚上げして消費税大増税を国民に押しつけることは絶対に許されません。
社会保障の財源は、消費税増税に頼るのでなく証券優遇税制の廃止など所得税の累進性強化、大企業を優遇する不公平税制の是正、大型開発や軍事費などの歳出の無駄にメスを入れることなどによって確保すべきです。
こうしてこそ大企業の約260兆円もの内部留保を国民に還元する道が開けます。大企業中心の成長戦略、TPP(環太平洋連携協定)参加という道を転換し、家計消費の拡大を中心とする国民本位の経済発展に軌道を切りかえるべきです。
流用をやめよ
また、復興予算に被災地の復興と関係のないものが含まれるなど言語道断です。
復興予算の財源のため来年1月から25年間所得税の付加税率が2・1%引き上げられ、住民税も増税となります。法人税は4・5%という大幅引き下げを行いました。大企業には3年間の時限的付加税を課すだけでその後は減税が続くのです。
そのうえ大企業には復興の名で財源をばらまいています。立地補助金の8割が大企業に渡っています。これらの大企業は大規模なリストラを進め、被災地からも雇用を奪っているではありませんか。
国民の過半数が“原発ゼロ”を求めているもとで原発輸出に向けた「調査等委託費」を盛り込んでいることは重大です。地盤のかさ上げや防災集団移転をはじめ事業所や住宅の再建など被災者が切実に望む対策は進んでいません。復興予算は、東日本大震災・原子力災害による被災者の生活と生業の再建、被災地の復興以外に使ってはなりません。
2回も増税に
公債特例法案について「3党合意」にもとづき修正が行われましたが、基礎年金国庫負担を2分の1に引き上げるための財源を、当初案の「交付国債」から「つなぎ国債」すなわち「年金特例国債」に変えるものです。しかし、償還財源に消費税増税分を充てることに変わりはありません。
そもそも、基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げるためと称して、所得税・住民税の定率減税廃止と老年者控除・公的年金等控除の見直し・廃止が行われたのではなかったでしょうか。それを実施しておきながら、さらに消費税増税を財源にあてるのは、国庫負担引き上げを口実に国民の懐から2回も取りあげることになるではありませんか。
野田内閣がなすべきことは、予算委員会を速やかに開き、国政の基本問題について争点を明らかにし、速やかに解散・総選挙を行うことです。