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2012年11月18日(日)

公債特例法案に対する

佐々木議員の反対討論

衆院本会議

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 日本共産党の佐々木憲昭議員が15日の衆院本会議で行った、公債特例法案に対する反対討論は次の通りです。

 野田内閣は、先の通常国会で廃案となったものと同じ内容の法案を提出しましたが、その後、民自公3党の「合意」によって重大な修正が加えられました。

 公債特例法案は、予算と一体のものです。野田内閣による今年度予算は、消費税増税を前提としており、年金の支給額の削減、子ども手当の削減など社会保障の連続改悪を進めるものとなっています。

 国民の暮らしも、経済も、財政も破壊する道に踏み出すものであり、このような予算には賛成できませんし、この予算を支えるために多額の赤字国債を発行することは、認めるわけにはいきません。

 民自公3党によって、「2012年度から15年度まで」の4年間、特例公債の発行を自動的に認める修正が加えられました。

 民自公3党で「確認書」が交わされ、議員立法として提案したその日に財務金融委員会で質疑、採決をおこないました。あまりにも乱暴であり、委員会における充実した審議を否定するやり方は到底受け入れられません。

 修正内容にも重大な問題が含まれています。憲法第83条は、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」と定めています。どこから財力を調達するかも含め、国会の議決に基づくものとしています。

 憲法第86条は、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」と予算の単年度主義を定めています。

 財政法第4条は、「国の歳出は、公債又(また)は借入金以外の歳入を以(もっ)て、その財源としなければならない」としており、公債や借入金は認めていません。これは、過去の戦争で戦費調達のために大量の国債を発行し、国家財政と国民生活を破たんさせた痛苦の経験があったからです。

 かつて大平正芳蔵相は、1975年12月、衆院大蔵委員会で赤字国債発行について、「財政法は、公債の発行は四条国債(建設国債)以外認めていません」と述べ、特例公債の発行が「習い性(ならいしょう)となっては困る。異例の措置であれば、その年度限り、その特定の目的のために、これだけのものをお願いする、というように限定しなければならない」と述べました。

 公債特例法案は、閣法として出し、その都度、国会の承認を得るというのが原則であり、単年度に限定したのは、財政規律を保つための最低限の措置です。民自公3党は、この重みをどう受け止めているのでしょうか。公債特例法案を政局の駆け引きの道具にし、そのあげく、もう邪魔だからという理由で、その限定を外してしまうのは、あまりにもご都合主義ではありませんか。

 4年にわたって特例公債の発行を認めれば、財政規律はどうなるのか。2013年度、14年度、15年度の予算は、まだ影も形もありません。どのような内容の予算が組まれるか分からないのに、赤字公債の発行だけを先に認めてしまう。まさに“赤字国債発行自由化法案”ではありませんか。

 「中期財政フレーム」で歯止めをかけるとか、公債の発行額の抑制に努めるという「努力規定」を入れても、まったく歯止めにはなりません。予算編成の内容は、そのときの政権の判断で決められますから、赤字国債は予算の組み方によっては、いくらでも自動的に発行できるのです。しかも、国会のチェック機能を今後3年にわたって奪うことになります。議会制民主主義の重大なじゅうりんです。

 自民党の「国土強じん化計画」では、10年で200兆円の大規模投資を行うとしています。最初の3年間を「集中期間」とし「15兆円を追加投資する」としています。

 つまり3年間の投資額は毎年25兆円となり、法案の骨子には、「日本再生債を創設する」と書かれています。これは、赤字国債の増発ではありませんか。

 総選挙後に、自民党政権ができると仮定すると、13年度から15年度までの3年間は、どんな大規模な予算を組んでも、自由に赤字国債を発行できることとなります。消費税増税前に、際限ない無駄遣いに道を開くことになり、財政破たんの危険性をますます高めるものとなります。

 民自公の「3党合意」に基づいて、本年度分の基礎年金国庫負担を2分の1に引き上げるための財源を、当初案の「交付国債」から「年金特例国債」に変えるという修正が行われました。そのような修正をしても、償還財源に消費税増税分を充てることに何ら変わりなく賛成できません。


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