2012年12月1日(土)
補助金受給企業から2億6千万円
政治資金報告書 自民・民主に違法献金か
国が工場の生産設備などに補助金を交付するトヨタやホンダ、東芝、住友化学などの企業から、自民党や民主党が2億6千万円を超える、違法の疑いがある献金を2010年、11年に受けたことが30日、総務省公開の11年分政治資金収支報告書などで明らかになりました。国民の税金が政党・政治家への献金として還流しています。
政治資金規正法は、補助金を受ける企業が交付決定の翌日から1年以内に献金することを原則として禁じています。献金する企業側は「利益を伴わない補助金で規制の例外だ」と主張しますが、政治資金にくわしい専門家は「献金は法の趣旨に反する」と指摘します。
問題の献金は判明しているだけで34社、2億6532万円にのぼります。自民党は政治資金団体「国民政治協会」(国政協)と国会議員が代表をつとめる政党支部で、民主党は政党支部で献金を受けています。
34社は10年から11年にかけて経済産業省所管の立地補助金に応募し、交付先に選ばれた企業です。
この立地補助金は「国内での工場立地と雇用創出を図る」という名目で、LEDやエコカーなどを製造する企業に対し、3回の募集で約1470億円を企業にばらまきました。
5140万円を国政協に献金したトヨタ自動車は、「国から補助金の交付決定を受けたのは事実。ただし、規制の例外になる『性質上利益を伴わないもの』にあたる」(広報担当者)と説明。910万円献金の三菱電機も「例外規定にあたると判断した」とし、2800万円献金の東芝も「例外に該当」と口をそろえます。
企業側が利益を伴わないと主張する立地補助金は、製品を生産する設備への投資を助けるものです。経産省は制度の特徴を「生産を応援するので、企業に利益をもたらすのが前提」(経済産業政策局の担当者)とします。
政治資金規正法にくわしい上脇博之神戸学院大学教授の話 経産省が企業に利益をもたらすという以上、規正法の例外規定にはあたらない。この規制は、補助金を受ける企業が政党や政治家と癒着の関係を維持し強固にするために献金することを防ぐものだ。これを公然と破って献金を受けることは、癒着の関係があることの証しだ。