2012年12月7日(金)
労働者減らす計画に減税
日立のリストラに4億円
日立製作所がリストラ計画の見返りに4億2000万円の減税措置を受けていたことが分かりました。
日立は2009年12月、「産業活力再生法」に基づき提出した事業計画が経済産業省に認定され、増資の際に登録免許税の軽減措置を受けました。通常、増資額の0・7%の登録免許税が「産活法」の特例により、0・35%となり、負担が半減しました。日立が提出した事業計画では、当初5000人の従業員の出向・転籍を予定。12年3月に出向・転籍計画を6400人に変更しています。
「産活法」は、企業のリストラ計画を政府が認定し、税制上の特例措置や金融面での支援などの優遇措置を与えるもの。政府によるリストラ支援法です。1999年の成立以来、大企業は大量の人減らしを行い、減税や金融支援の恩恵を受けてきました。
パナソニックは2011年12月に「産活法」に基づく事業計画が認定され、登録免許税の軽減措置を受けました。計画では14年12月までに従業員を5048人減らし、1万9776人を転籍させるとしています。
2月に経営破綻したエルピーダメモリは09年に、300億円の公的支援の出資を受けました。
大リストラを強行している電機・情報産業の大企業に政府が優遇措置を取って応援することは重大問題です。
解説
リストラ推進の産活法
雇用維持放棄の政府
1999年に制定された「産活法」は、企業の設備、雇用、債務の三つの過剰を解消し、不採算部門を切り離す選択と集中、株主配当優先の米国型経営を促進することで経済全体の「再生」につなげるとして導入されました。株主の持ち分である株主資本がどれだけの利益を上げたかを示す株主資本利益率(ROE)の向上が同法の適用条件です。
大株主の利益のための大企業のリストラ計画に政府がお墨付きを与え、人減らしを推進してきました。その結果、不安定雇用が増大し、労働者の賃金は下がり続け、貧困と格差が拡大しました。
「産活法」は、自民党政権が財界・大企業の要求を丸のみして成立させたものです。同法は、官民意見交換の場として設置された小渕恵三首相(当時)の私的懇談会「産業競争力会議」に経団連が提出した「我が国産業の競争力強化に向けた第一次提言」を取り込んで法案化されました。
当初は2003年までの時限立法でしたが、03年、07年に適用範囲を拡大し、期間を延長。09年には一般事業会社への政策金融機関による公的資金の注入などが可能になりました。公的支援を受けたエルピーダメモリの破綻により277億円の国民負担が生じました。
民主党は制定時には反対しましたが、その後の「改正」に賛成。政権党となった後も、11年に産業再編などの支援策を拡充する改定を行いました。雇用を守るという政府の役割を放棄した自民党型政治が続けられたのです。
日本共産党は同法の制定時以来一貫して、経済再生どころか大量失業と地域の疲弊をもたらすと指摘し、反対してきました。総選挙の各分野政策では、大企業の横暴な人減らし・リストラを許さず、解雇、退職・転勤強要を許さない解雇規制の法制化を掲げています。 (柳沢哲哉)