2012年12月22日(土)
主張
辺野古アセス補正提出
新基地に固執するのをやめよ
沖縄防衛局は18日、名護市辺野古に米軍新基地を建設する前提となる環境影響評価(アセスメント)の補正評価書を沖縄県に抜き打ち的に提出しました。県民から怒りが噴き上げています。
補正評価書が県民に公告・縦覧されればアセスの手続きは終了し、新基地建設のための辺野古沿岸の埋め立て申請に道を開くことにつながります。申請は新政権発足後とみられますが、政権交代の隙を突いたアセス提出に県民が激憤するのは当然です。県民は島ぐるみで新基地建設計画に反対しています。埋め立て申請の企てが許されるはずはありません。
オスプレイの被害黙殺
今回の評価の補正は、昨年12月末に闇にまぎれて防衛省が沖縄県にだした辺野古の評価書があまりにずさんで、仲井真弘多知事が評価書に579件もの意見をつけ、新基地建設の「実現は事実上不可能」と指摘したことを受けてだされたものです。しかし抜き打ち的に沖縄県に持ち込んだ補正評価書自体も知事意見に正面から答えない欠陥文書です。
とりわけ重大なのは、墜落事故が多発している欠陥輸送機オスプレイが普天間基地に配備され、県内全域で無法な飛行をくりかえしているのに、オスプレイが県民にどんな影響をもたらすかの影響評価を避けていることです。
仲井真知事は知事意見で、オスプレイの県内飛行について「飛行経路等の情報を入手し予測・評価」を求めましたが、補正評価書はオスプレイの住民と環境への被害予測を黙殺しています。飛行経路を明らかにし、影響を予測すれば新基地反対の運動に拍車がかかり、計画が断念に追い込まれることを恐れたからにほかなりません。
環境影響評価法は第1条で、「国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする」と明記しています。補正評価書が法の趣旨に反しているのは明白です。これで埋め立て申請に道を開くなど絶対に許されません。
そもそも政権交代直前のこの時期に補正評価書を提出したこと自体異常です。埋め立て申請を「次の政権に引き継ぐ」(森本敏防衛相)ことによって、対米忠誠心を誇示し、自民党政権への政治的影響力も残したいという魂胆がみえみえです。県民の願いよりも党略を優先した民主党政権の態度はまさに醜悪の極みです。
普天間基地の辺野古「移設」と新基地建設計画に反対する沖縄県民の意思はまったくゆらいでいません。オスプレイの普天間配備は2014年に12機追加されて合計24機になる予定です。新基地の危険性は明白です。墜落の危険と騒音被害のたらい回しを許さない県民の反対運動が日米両政府をさらに追い込むことになるのは明らかです。
基地も安保もなくせ
政府が普天間基地の危険性を除去するために辺野古に新基地を建設し「移設」するというのは通用しない議論です。米国防長官すら「世界一危険」という普天間基地問題を解決するには即時閉鎖・撤去という最良の道があります。その道を選択しないのは、これまでの政権がいずれも日米安保条約=軍事同盟を絶対のものとする古い自民党型政治に固執しているからです。「基地も安保もなくせ」の声を大きくすることが重要です。