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2013年1月5日(土)

村山・河野談話見直しは「過去の偽造」

米紙ニューヨーク・タイムズが社説 安倍氏批判

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 米紙ニューヨーク・タイムズは3日、安倍晋三首相が昨年末の産経新聞のインタビューで、侵略戦争と植民地支配に対する日本政府の謝罪を見直す考えを示唆したことについて、「犯罪を否定し、謝罪を薄めようとするいかなる試みも、日本の野蛮な戦時支配を受けた韓国、中国、フィリピンを憤激させるだろう」ときびしく批判する社説を掲げました。

 「日本の歴史を否定する新たな試み」とした社説では、安倍首相が「朝鮮人その他の女性を性奴隷として使ったことを含む日本の第2次世界大戦での侵略についての謝罪の見直しを求めるかもしれないと示唆している」ことをとらえ、「安倍晋三氏は韓国との緊張をかき立て、協力をさらに困難とするような深刻な間違いで、彼の在職期間を開始したいと思っているようにみえる」と指摘しています。

 社説は日本の植民地支配と侵略に「心からのおわび」をのべた村山富市首相談話(1995年)を「未来志向の声明」に置き換えたいとしていることや、日本軍「慰安婦」問題で旧日本軍の関与と強制を認めた河野洋平官房長官談話(1993年)を見直すとしていることを紹介。「安倍氏がいかに謝罪を改定するのかは明らかではないが、これまで、自国の戦争時の歴史を書き直したいとの願望を隠そうとはしていない」と批判しています。

 そのうえで、「安倍首相の恥ずべき欲求」が北朝鮮の核兵器計画のような問題で、地域の重要な協力を危うくするかもしれないとの懸念も示し、「そのような修正主義は、過去の偽造ではなく長引く経済停滞の改善こそに集中すべき国を窮地に陥れるものだ」と述べています。

 米紙ロサンゼルス・タイムズ(12月31日付電子版)は、安倍晋三首相が打ち出した村山談話(95年)の見直しについて「(首相である)安倍氏自身から出た言葉は、中国と朝鮮半島の反日感情に火をつけ、新政権は隣国との関係悪化から始まる」と論じました。

 また、安倍政権が河野談話(93年)の見直しを求め、下村博文文部科学相が現在の歴史教育を「自虐的」として大幅な方針転換を求めている点を指摘。「日本の閣僚たちが謝罪への逆行を提案している」と述べました。

首相、村山・河野談話の見直し明言 「産経」で

 ニューヨーク・タイムズが取り上げた産経新聞の単独インタビューで安倍首相は、日本の過去の植民地支配と侵略について「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明した村山首相談話に対して「あれから時を経て21世紀を迎えた。21世紀にふさわしい未来志向の安倍内閣としての談話を発出したい」と表明し、「未来志向」の名で謝罪をうち消す方向を示唆していました。内容や発出時期は有識者を集め検討する考えを示していました。

 また、戦時中の日本軍「慰安婦」問題をめぐり強制性と日本軍の関与を認めた河野官房長官談話について「閣議決定していない談話だ」と強調。第1次安倍政権で「慰安婦」問題について「政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」との答弁書を閣議決定していることを示し、「この内容も加味して内閣の方針は官房長官が外に対して示していく」としていました。

 これは、日本軍が運営する施設で暴行し性行為を強制したという「強制」の核心をすり替え、施設に連れてくるときに「強制連行」があったかなかったかにわい小化する議論です。

 村山談話については歴代内閣の立場を引き継ぐ考えを示していた菅義偉官房長官も4日の新聞・通信各社のインタビューで、政府の歴史認識に関し「21世紀にふさわしい、未来志向の新たな談話を考えたい」と述べ、「安倍首相談話」を検討する方針を表明しました。


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