2013年1月8日(火)
“ギロチンに首出すな”
自民執行部 TPPで“不協和音”
細田幹事長代行
環太平洋連携協定(TPP)交渉参加をめぐり、自民党内に“不協和音”が生じ始めています。TPPに強く反対する国民世論と財界・アメリカの要求との矛盾が根本にあります。
自民党の細田博之幹事長代行は7日のBS朝日の番組で、同党の高市早苗政調会長がTPP交渉参加に柔軟姿勢を示した(6日、フジテレビ番組)ことに関し、「例外なき関税障壁撤廃を前提とした交渉では到底対応できない。あらかじめギロチンに首を差し出すようなことはすべきではない」と述べ、関税撤廃の例外品目を確保できないままでの交渉参加に否定的な考えを強調しました。
細田氏は「米国の力は非常に強い。繊維も鉄鋼も半導体も自動車交渉も全部、米国の優勢勝ちだ」と指摘。「(交渉では)防衛関係もあり、譲歩を迫られ、政治的に苦境に立たざるを得なくなる」と述べました。
高市氏は6日に出演した番組で「交渉に参加しながら守るべき国益は必ず守る、条件が合わなかったら脱退するという選択肢はゼロではない」と述べ、TPP交渉への参加を容認する姿勢を示しました。
高市氏は「政調の方で譲れない条件をしっかりまとめる」とし、政府に対し条件を示す考えも示しました。
安倍晋三首相は、昨年12月26日の首相就任会見で、TPP交渉参加問題について、「経済交渉においては結果が全て。結果、国益が守れたか、得るものが得ることができたかという観点」を強調しました。
これは自民党が総選挙公約で、「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対」としていたのを、交渉参加には条件をつけない姿勢に転化し、交渉に踏み込む姿勢を示したものです。高市氏の発言は、首相の立場を党のサイドで「尊重」する姿勢を示したものです。
もともと自民党の公約は、「例外品目」を確保できればTPP参加を容認するもので、「例外なき関税ゼロ」の承認が参加の前提であるTPPの実態をごまかして国民を欺くものでした。例外品目の確保を理由に、交渉参加に道を開く弱点をもっており、食品安全や労働、金融のルールなど非関税障壁の撤廃については無批判に受け入れる内容になっています。