2013年1月15日(火)
安倍政権の歴史・外交姿勢
米政府・メディアから懸念の声
安倍新政権が日本軍「慰安婦」問題で日本軍の強制を認めた河野談話の見直しや憲法改悪を明言した後、米政府からは日本に対して懸念の声が出され、米国内のメディアも安倍政権の歴史・憲法問題や外交についての姿勢を注視しています。(洞口昇幸)
軍国主義的な土台を狙う
「対話を通じて解決」要求
「歴史問題について友好的な方法で対話を通じて解決することを望んでいる」―。米国務省のヌーランド報道官は7日、安倍政権の河野談話の見直しについて記者会見で問われ、懸念を示しました。
ヌーランド氏はまた、「日本の新政権や韓国の新政権、北東アジアのすべての国々が、歴史にしろ領土にしろ、未解決の問題を対話を通じて解決することに注視したい」と述べました。
同日、2人のニューヨーク州議会議員が、日本軍の「慰安婦」は人道に対する罪だとして日本政府に公式に謝罪を求める決議案を、議会に提出することを明らかにしています。
米紙ロサンゼルス・タイムズ11日付(電子版)は、「安倍首相が憲法の平和条項として世界的に有名な9条改定を表明した」と改憲の動きに注目。「自民党は権威主義的で軍国主義的な日本の土台をつくろうと企てている」と指摘しています。
さらに、2006年に一度政権についた安倍氏が、今回と同様に改憲の野心を持ちながら1年でその政権が崩壊したが、歴史は自動的に繰り返すものではないと指摘。「世界中の人権擁護団体は、自民党の改憲に対して世論を動員しなければならない」と述べています。
米紙ワシントン・ポスト同日付(電子版)では、カート・キャンベル東アジア・太平洋担当国務次官補が、日中間の尖閣諸島問題についてアメリカは「懸念と警告」を強めるだろうと述べたことを紹介しました。
同紙はまた、ビクター・チャ元ホワイトハウス国家安全保障会議アジア部長の解説を示しています。チャ氏は、日韓の敏感な歴史の論争についてアメリカは公的に仲裁すると見なされたくないとし、「(仲裁は)決して成功しないだろう。結局は、日韓に憎まれることになる」と述べています。
インドネシア紙も
インドネシア紙ジャカルタ・ポスト9日付(電子版)は、「日本は安倍首相ではない“明治維新”を必要とする」と題する上級編集委員の論評を掲載し、「右派と超国粋主義の政治家が日本政治を支配し、軍国主義国家の復活の可能性を引き起こすのではないかとの恐れが出ている」と指摘。「安倍政権は日本をより良くするための重要な変化をもたらすことはできないだろう。それをできるのは日本国民だけだ」と述べています。