2013年1月24日(木)
主張
国連安保理決議
北朝鮮は孤立を選択するのか
北朝鮮が昨年12月12日に事実上の長距離弾道ミサイルの発射実験を強行したことについて、国連安全保障理事会が発射を非難した決議を全会一致で採択しました。米国や中国などの間で対応をめぐって意見の違いがあったとされ、合意とりまとめに時間を要したものの、強制力をもつ安保理決議のかたちで、国際社会が一致して北朝鮮の行為を許さない姿勢を明らかにしたことは重要です。
北朝鮮は国際社会の一致した要求を受け入れ、弾道ミサイルの発射やさらなる核実験の強行をやめるべきです。
一致した対応示す
北朝鮮は昨年の発射を、人工衛星を打ち上げるための「ロケット」だと主張しました。発射後は“成功”を大々的に祝うとともに、今後もさらなる「打ち上げ」を行う姿勢を示しています。
これは安保理決議に明確に違反し、国際社会に挑戦するものです。2009年に採択された安保理決議1874は、北朝鮮に対し「核実験や弾道ミサイル技術を利用したいかなる発射」も行わないよう要求しています。打ち上げたのは「ロケット」であってミサイルとは別物だ、とする言い逃れを最初から封じたものです。「ロケット」と呼ぼうと、技術的にはミサイルと共通であり、核兵器の運搬手段に使われるものだからです。
今回採択された決議2087も同じ立場から「弾道ミサイル技術を利用したいかなる発射も行わない」よう要求しています。核兵器の開発も完全に放棄するよう迫っています。決議は北朝鮮が事実上のミサイル発射を強行し、決議違反を重ねたことに対し、発射に関与した北朝鮮の機関や企業などの資産を凍結、それらの幹部についても資産凍結や海外渡航禁止などの制裁を科しています。そのうえで、北朝鮮がさらなる発射や核実験を強行すれば「重大な行動を取る」と厳しく警告しています。
核兵器開発は世界の安全と平和に深刻な脅威をもたらすものです。度重なる働きかけにもかかわらず核兵器とミサイルの開発を放棄しないことに対して、国際社会がこれらを認めない確固とした立場を改めて表明したことの重みを、北朝鮮は銘記すべきです。
危機を回避し、北朝鮮の核兵器問題を真に解決するには、対話を通じた政治的解決が不可欠です。安保理決議も制裁で問題が解決できるとしているわけではありません。「平和的、外交的、政治的解決」の意思を表明し、北朝鮮と日米韓中ロによる6カ国協議の再開と協議の加速、朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和への道筋を示した05年の共同声明の履行を求めています。関係各国はこれこそが解決の展望であるとの確信にたって、そのための努力を一段と強める必要があります。
核実験強行に警戒も
今回の安保理決議を受けて、北朝鮮は声明を発表し、「核抑止力を含む軍事力の拡大強化」を進めるとしました。北朝鮮は06年、09年にもミサイル発射に続いて核実験を強行しており、今回の声明も3度目となる核実験を強行する意思を示したともみられています。北朝鮮が核開発に固執するなら、国際社会からの孤立はまぬがれません。全会一致で採択された今回の安保理決議は、その意思を明確に示したものです。