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2013年2月2日(土)

市田書記局長の代表質問 参院本会議

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 日本共産党の市田忠義書記局長が1日、参院本会議で行った代表質問は次の通りです。


 私は日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。

 私はまず、アルジェリアでテロによって犠牲となられた方々、ご遺族、関係者の皆様に、心から哀悼の意を表するとともに、テロ集団の蛮行を厳しく糾弾するものです。同時に、国際社会がテロ根絶のために、その背景にある貧困や抑圧、大国による国際的無法を解決するために力をあわせること、邦人保護のためには、日本政府が当該国に安全確保の国際的義務を果たさせる安全優先の外交努力を尽くすこと、さらに在外公館の基本的な機能を高め、現地で働いている人たちとの密接な情報共有を行うことが求められており、現地では自衛隊が乗り込み、しかも武器まで使用することなどだれも望んでいないことを指摘しておきたいと思います。

暮らし悪化を後押しした歴代政権――賃上げ目標を掲げ、正社員拡大、リストラ中止を

写真

(写真)代表質問をする市田忠義書記局長=1日、参院本会議

 総理は「どれだけ真面目に働いても暮らしがよくならない」と述べられました。なぜそんなことになったとお考えでしょうか。

 昨日発表された「毎月勤労統計」では、支払われた給料は、ついに1990年以来最低の、31万4236円にまで落ち込みました。

 これは単なる自然現象ではありません。そこには自民党、途中から公明党も加わりましたが、歴代政権の後押しがありました。すなわち1985年に労働者派遣法がつくられ、それまでの「雇用は正社員が当たり前」という原則がこわされ、いまでは働く人の3分の1が、派遣や請負、有期雇用などの非正社員に置き換えられてしまいました。そしていま、電機関係などの大企業では、リストラ対象者を一部屋に集め、執拗(しつよう)に「あなたには仕事はない」など、退職を強要する「追い出し部屋」まで使って、13万人にも及ぶ大リストラが強行されつつあります。

 総理は「額に汗して働けば必ず報われ、未来に夢と希望を抱くことができる」ことを目指す、と述べられました。その言葉が口先だけでないというのなら、2%のインフレ目標ではなく、政府として賃上げ目標をかかげるべきであります。総理の「企業収益を回復させ、その後に賃上げに回す」という言い分はすでに破綻しています。1997年と比べて、企業の経常利益は1・63倍に増えたのに、労働者の賃金は12%も落ち込んだではありませんか。中小企業には国が手だてを講じるなどしてでも、最低賃金を大幅にアップする、賃下げ・合理化の手段となった労働者派遣と期限付き雇用を原則禁止にする、そして「追い出し部屋」などを使った不当・無法なリストラをやめさせる、これこそ政府が責任を持って行うべき仕事ではありませんか。

中小企業は「経済のけん引力」――金融円滑化法打ち切りやめ、恒常的抜本的強化を

 さらに重要なことは、全企業数の99・7%、雇用の7割を占める中小企業への応援です。

 政府は2010年、「中小企業は、経済をけん引する力であり、社会の主役である」「政府が中核となり、国の総力を挙げて、中小企業の持つ個性や可能性を存分に伸ばし、…困っている中小企業を支え、…どんな問題も中小企業の立場で考えていく」という中小企業憲章を閣議決定しました。この立場は安倍政権においても当然踏襲されるべきだと思いますがいかがですか。

 多くの中小企業に喜ばれてきた「金融円滑化法」は、この3月で期限切れとなります。期限が切れてしまえば、金融機関の6割が、企業倒産の増加を懸念しているという帝国データバンクなどの調査もあります。一部に、「本来なら倒産すべき企業を延命させているのは問題の先送り、モラルハザードだ」などという人々がいますが、とんでもありません。東京商工リサーチの調査によれば、倒産の原因は、不況による「販売不振」や「赤字累積」が全体の8割を占めています。「放漫経営」が原因というのは、ごくわずかしかありません。わが党は、不況で中小企業が苦しい時に、金融機関が返済条件などを緩和して支援するのは当然の社会的責任であると考えます。「円滑化法」の打ち切りはやめるべきであります。そして、今こそ政府の責任で、中小企業金融の恒久的で抜本的な強化を図るべきではありませんか。

TPP参加は「百害あって一利なし」――参加反対の公約投げ捨ては許されない

 TPP交渉に参加するか否か、これはわが国の農業と農村を破壊に導くだけでなく、社会のありようを根底から変えかねない重大問題です。だからこそ総選挙でも重大な争点になりました。自民党は、「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、交渉参加には反対する」ことを総選挙の公約に掲げました。共同通信社の調査によれば、当選した議員の66%が、また自民党議員の多くも反対していると報じられています。ところが、自民党と公明党との連立政権合意では、自民党がかかげた「反対」の文字が消え、「国益にかなう最善の道を求める」というきわめてあいまいな表現となりました。そして総理は、選挙後初めての所信表明で、TPP問題については一言も触れませんでした。なぜなのでしょうか。交渉参加反対の旗は降ろしたのですか。

 TPPへの参加は、農業を破壊し、私たちの祖先が営々として築き上げてきた日本の風土と景観をこわし、さらに、非関税障壁の撤廃で、食の安全や医療、さらに雇用や地域経済をも脅かすという、国民にとっては「百害あって一利なし」の暴挙であります。総理にはこうした認識はおありですか。

 自民党はこの間、民主党政権にたいして、TPP交渉についての方針や協議の実態について情報開示を求めてきましたが、政権についた以上、自ら、すべての情報を、国会と国民の前に開示するのが当然だと思いますが、いかがですか。

集団的自衛権行使は米国と「武力行使」がねらい――世界の平和に力発揮する9条を守れ

 最後に、憲法と集団的自衛権行使の問題についてであります。

 総理は、「集団的自衛権行使の見直しは安倍政権の大きな方針の一つ」(1月13日、NHKインタビュー)といいながら、所信表明では一言も触れられませんでした。ところが、今月中にも行われる日米首脳会談では、「オバマ大統領と議論したい」(同)とのべました。

 憲法は集団的自衛権の行使を禁じています。これは、憲法制定以来変わらぬ、歴代政府の見解でもあります。ことは、日本の最高法規・憲法にかかわる重大問題です。その見直しを、まずはアメリカ大統領と議論する、いったいどこの国の首相かと驚かざるをえません。

 なぜそんなことになるのか。それは、集団的自衛権の行使を求めているのが、日本の国民ではなく、アメリカだからです。アメリカの元国務副長官・アーミテージ氏は「集団的自衛権の禁止は日米同盟の妨害物」「両国の部隊が、平時、緊急時、危機そして戦時という安全保障の全段階を通じて全面協力で対応できるように」(2012年8月、第3次アーミテージ報告)と述べています。まさにアメリカとともに「肩を並べて武力行使ができるようにせよ」というのが集団的自衛権行使のアメリカ側の要求ではありませんか。

 総理はまた、1月のアジア歴訪の際、集団的自衛権の行使とあわせて、憲法をかえて「国防軍」の保持を目指す考えを、外国首脳に伝えたと報じられています。

 日本は、アジアで2000万人、日本人310万人もの犠牲者をだした侵略戦争の反省をふまえて、二度と「戦争はしない」「軍隊は持たない」と定めた憲法を掲げて国際社会に復帰しました。そして日本は戦後67年間、戦争による犠牲者を一人も出さないという世界でもまれな、名誉ある地位を築いてきたのであります。そのことがまた、世界中の人々から尊敬を集め、紛争の防止や世界の平和的な秩序作りに大きな役割を果たしてきたのではありませんか。

 その光輝ある地位を守り続けることこそ、日本の真の平和への道である、そのことを強調して質問を終わります。


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