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2013年2月9日(土)

賃上げへ政治が役割果たせ

笠井議員の基本的質疑

衆院予算委 論戦ハイライト

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 8日の衆院予算委員会で、焦点となっている経済対策と原発問題を取り上げた日本共産党の笠井亮議員。すでに破たんした政策にしがみつく安倍内閣と、国民の立場に立って打開策を示す日本共産党の対比が鮮明になりました。


原発事故究明なく 再稼働・新設は「安全神話」

原発「収束宣言」撤回せよ

写真

(写真)衆院予算委員会で質問する笠井亮議員(左)=8日

 福島原発事故からまもなく2年なのに「緊急事態宣言」も解除されず、16万人もの避難者が故郷に帰れていません。野田前政権は2011年12月16日、「収束宣言」を出してしまいました。

 笠井議員は、「収束していると簡単にはいえない」との安倍首相答弁あげ、宣言の撤回を迫りました。

 笠井 「収束宣言」は政府としては撤回するということか。

 茂木敏充経産相 前政権が冷温停止状態の達成を確認した。

 笠井 撤回するのかどうかについては全然話がない。なぜ、撤回するとはっきりいえないのか。

 笠井氏は、福島県議会が2度にわたり「収束宣言の撤回」などを求める意見書を全会一致で可決していると指摘。「収束宣言」を受け東電が賠償を打ち切る動きも進んでいると追及しました。

 笠井 総理が“福島再生に責任を持つ”というのなら、まず収束宣言を撤回するとはっきりいい、そこからこれからのことをやるべきではないか。

 安倍晋三首相 収束しているということは簡単に申し上げられない状態であるというふうに認識している。

「原発ゼロ」の決断今こそ

首相「安全神話反省しなければ」

 笠井氏は、安倍首相が「福島第1は津波を受けて電源を確保できなかった。新原発は全然違う。国民的理解を得ながら新規につくっていく」(昨年12月30日のテレビ番組)と、原発新設を明言していることをあげ「事故究明が終わったことにして再稼働、新増設するのは原発推進姿勢そのものだ」とただしました。

 笠井 「想定外の津波のせい」と主張してきた電力業界の言い分と同じだ。「安全神話」で原発を推進してきた歴代自民党政治の反省がない。

 首相 わが党が安全神話の中で原子力政策を進めてきたことは反省しなければならない。同時に(新設に)挑戦し続けていく必要もある。

 新設に固執する首相の姿勢について、笠井氏は「引き続き究明に取り組むべき」とする政府事故調査報告や、「事故は終わっていない」とする国会事故調査報告の立場とも違うと指摘。「ゼロベースで見直すべきは、歴代自民党政権の『安全神話』に漬かった原発推進政策だ。二度と事故を起こさないというなら、原発ゼロこそ政治決断すべきだ」と強調しました。

企業増益でも所得は減に

 安倍政権は、お金を大量に供給する“金融緩和”で物価が2%上がれば企業の収益が上がり、雇用と賃金上昇につながる―と主張しています。

 笠井氏は、大企業の内部留保・経常利益などと勤労者の平均給与年額を示したパネルを掲げました(グラフ)。平均給与年額が一番高かった1997年と2011年を比べると、企業の内部留保は120兆円以上増えていますが、平均給与は66万円も減っています。

 笠井 大企業は大幅に利益を増やしたのに働く人の所得を減らし、内部留保や株主配当に持っていった。そうではないのか。

 麻生太郎財務相 企業は巨大な内部留保を賃金や配当、設備投資に回さず、じっとため込んできた。その「企業マインド(心情)」が問題だ。

 安倍首相 来週、企業経営者を集め、内部留保を賃金につかうことがひいては企業の収益につながると協力を要請するつもりだ。

 両氏とも、企業が内部留保を労働者の賃金引き上げにつかっていないことを認め、それを賃金に回すことの重要性を認めました。

 笠井氏は、働く人の所得減がデフレの最大要因であり、企業の賃下げとリストラ推進がその背景にあることを指摘。「企業の収益が上がっても、働く人の所得につながらない。ここの問題にずばりと焦点をあててやらないといけない」と強調しました。

図

財界「賃下げ宣言」どうする

 笠井氏は、“業績がよくなれば、企業は賃金を上げる”と楽観視する安倍首相の姿勢をただしました。

 笠井氏は、経団連が「2013年版 経営労働政策委員会報告」で、賃上げを拒むだけではなく「定期昇給の凍結・見直し」まで主張していることを紹介。「これでは新たな『賃下げ宣言』ではないか」と、財界の姿勢をただすよう迫りました。

 安倍首相は、一部企業が賃上げを発表していることをあげて、安倍政権の金融緩和政策の「効果がでている」と自慢。経団連の主張に対し「コメントする立場にないが、賃上げの対応をしていただければありがたい」と企業任せの姿勢を示しました。

 笠井氏は、「こんな身勝手な主張を許し、日本中の大企業がいっせいに賃下げしたら、国民の所得がもっと減り、消費と需要を減らすデフレの悪循環になる」と批判。厚労省の「労働経済白書」や経済財政諮問会議の議員を務めた吉川洋東大教授も「賃上げ」「所得増」なしにデフレは打開できないと言っていることを紹介し、大企業が賃上げをするよう政府として役割をはたせと迫るよう求めました。

内部留保1%で賃上げ可能

麻生財務相「条件が企業にある」

 “収益があがってから”ではなく、内部留保を活用すれば、タイムラグなしに今すぐ賃上げできる―。笠井氏は、麻生財務相が首相時代(2009年1月9日)の国会論戦で、内部留保を活用した雇用確保の必要性を認めていたことを取り上げ迫りました。

 笠井 いまこそ企業内部に「余り」「眠っている」資金を賃上げ、雇用確保などで日本経済に還元することが必要だ。

 財務相 (内部留保が)賃金にまわることはもちろん、設備投資や配当にもまわることが必要だ。

 笠井氏は、大企業の内部留保がこの14年間で120兆円も積みあがっている実態を紹介。大企業グループ約700社(連結内部留保500億円以上)の試算では、「内部留保の1%程度を使えば、ほとんどの企業で賃上げが可能。月額1万円の賃上げができる企業は約8割、従業員数は約7割に及ぶ」と提起しました。

 笠井 内部留保のほんの一部の活用で賃上げが可能になる。

 財務相 それが間違いない数字だという前提でお答えすれば、今、いわれたようなことができる条件が企業にある。

 笠井氏の追及にたいし、麻生氏も大企業の内部留保の活用で、労働者の賃上げが可能になることを認めました。

労働者にも企業にもいい

 笠井氏は、日本共産党の立場について「何も大企業の経営の中に手を突っ込んで、カネを取り出し、国民のために使えと強制するのではない」と指摘。「労働者や下請けの給料が上がるために使うよう、政治がルールをつくろうということだ」と強調し、そのために政治が役割を果たすことだと力説。

 「人間らしい暮らしを保障する日本共産党の提案」として、(1)労働者派遣法改正で正規雇用を原則にする(2)最低賃金を時給1000円以上に引き上げる(3)公正取引、適正な下請け・納入単価を実現する―の三つを提起しました。「こうしたルールを政治が決めれば、企業が内部留保を活用して自らの労働者の賃金や下請けにたいして払うことができる。ましてこんなときに消費税増税などとんでもない」。笠井氏は安倍首相に強く求めました。


労働経済白書などから

 「労働者の所得の増加が消費の増加を通じて日本経済の活性化につながるという日本経済のマクロの好循環を取り戻すことが必要」(2012年版 労働経済白書)

 〈なぜ日本だけがデフレになったのか〉

 経済財政諮問会議元民間議員・吉川洋東大教授 「大企業における雇用制度が大きく変わり、名目賃金が下がり始めたことである」(『デフレーション』、日本経済新聞出版社)


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