2013年2月10日(日)
コンクリート化に警鐘
講演会で日本の海岸考える
環境団体が主催 干潟喪失や赤潮発生も
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国土強靭(きょうじん)化の名のもとに被災地沿岸をはじめ、全国で海岸整備が進められています。すでに日本の海岸の半分が埋め立てなどの人工海岸です。9日、そんな海岸のありようを考える講演会が東京都内で開かれました。海の生き物を守る会、日本自然保護協会の共催で市民や研究者など90人が参加。3人が活動を報告しました。
広島県の「ハチの干潟調査隊」の代表、岡田和樹さんは、2005年に明らかになった干潟の埋め立てについて発言。観察会や生き物調査を力に07年、市民過半数の署名を集め、計画を断念させました。岡田さんは「瀬戸内海の干潟の多くが失われた。たくさんの生物がすみ、独特の漁もある干潟と人との関係を次世代に残したい」と話しました。
宮城県気仙沼市のNPO法人「森は海の恋人」の畠山信さんは防潮堤建設について市民有志で「防潮堤を勉強する会」をつくりました。「宮城県は一律全ての海岸に防潮堤を造るという。海が見えなくなり、かえって命を危険にさらす。赤潮の発生など漁業への影響もある」と述べました。
ジュゴンがすむ沖縄の護岸建設計画を一部変更させるとりくみを日本自然保護協会の安部真理子さんが報告。
「海の生き物を守る会」代表の向井宏京都大学特任教授は米国や英国の海岸管理も紹介しながら、「海岸は、海と陸を結び、生物多様性の高い場。日本のコンクリート化は世界でも特異で、このまま国土強靭化が進めば未来に禍根を残す」と警告しました。