2013年2月13日(水)
海外収益にも課税を
米連邦議会に法案提出
多国籍企業“税逃れ”に対し
【ワシントン=山崎伸治】米国で財政赤字削減と課税見直しが議論になる中、米国に本社を置く多国籍企業が海外で得た収益にも国内と同様に課税することを目的とした新たな法律案が、このほど米連邦議会に提出されました。
これはサンダース上院議員(無所属)とシャコウスキー下院議員(民主党)が7日、上下両院議員で構成する課税合同委員会に提出した「企業税公正法案」です。
米国の税法では、海外で得られた収入は米国内に送金されるまで、課税が猶予されることになっています。また海外現地で支払った税金は国内で控除を受けられます。
多国籍企業はこの制度を利用し、海外にある子会社や、ケイマン諸島などの租税回避地(タックスヘイブン)に郵便受けだけを置く名ばかりの「会社」を設立し、これに海外での収入を送るという方法で“課税逃れ”を図っています。
サンダース氏によると、米企業の総収入上位100社のうち83社がこうしたことを行い、米本国に送金されない収入は総額1兆7000億ドル(約158兆円)に上ります。
法案は(1)海外での収入にも課税する(2)課税額が海外で支払った税金を上回る場合、差額を支払わせる(3)租税回避地に郵便受けを設けるだけの会社設立を認めない―ことなどが柱となっています。
サンダース氏によると、同法案が成立すれば、今後10年間で5900億ドル(約54兆9000億円)の税収増が見込まれます。